お知らせ/トピックスTOPICS

コラム 2020月06月30日

《コラム》法人に係る消費税の申告期限の特例の創設

◆事前届出で消費税確定申告期限を1月延長
令和2年4月に消費税法等の一部が改正され、事前届出で消費税確定申告期限を1か月延長できるようになりました。結果、法人税の申告期限延長特例適用企業における消費税と法人税の申告書の提出時期のずれの弊害が是正されることとなります。
この制度が新設された背景には、「働き方改革関連法案が施行されるのだから、法人税と消費税の申告期限が違うことで生じている事務負担を削減できるよう、消費税の申告期限延長特例を新設しよう」という、経済産業省経済産業政策局企業行動課の令和2年度税制改正要望がありました。

◆適用のための届出
この制度の適用を受けるには、①法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人であること、②消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出することが必要です。
①は、定款等で決算承認の定時株主総会の開催が事業年度終了後3か月以内と定められている法人が、事前届出をすることで法人税の確定申告書の提出期限が1か月延長される制度です。それを受けている法人が、②消費税の申告期限延長の届出書を事前に提出することで適用されます。
届出書の提出期限は、「特例の適用を受けようとする事業年度終了の日の属する課税期間の末日まで」です。
この特例のスタートは「令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間」からです。すなわち、課税期間が1年で3月決算法人の場合=令和2年4月1日から令和3年3月31日の課税期間から、12月決算法人の場合=令和3年1月1日から12月31日の課税期間からの適用となります。

◆1か月延長によるデメリット
申告期限が延長されてもメリットだけではありません。延長された期間の利子税(=罰金ではない遅延利息)の支払が必要です。利子税を回避するためには2か月以内に数字を固め予納することが必要です。課税庁側の事務負担は減るかもしれませんが、納税者側の事務負担はむしろ増える恐れもあります。また還付申告となる場合は、還付されるまでの期間がその分遅れます。
よって、延長できた場合も、法人税と違い株主総会での決算確定の縛りがありませんので、従来通り2か月以内の提出1回で終わらせてしまう方が良いかもしれません。

 

コラム 2020月06月30日

《コラム》即時償却と税額控除の選択

◆優遇税制としての節税制度
即時償却を含む特別償却と税額控除とが選択適用となっているものは幾つもあります。例えば、昨年の税制改正で2年間の期間延長された中小企業者等の特定経営力向上設備等取得における税制優遇制度においては、即時償却か税額控除かのいずれかの選択が認められています。即時償却は、購入資産の事業供用時に取得価額全額を減価償却するというものです。他方、税額控除は、通常の減価償却を行う外、特定経営力向上設備等取得の制度では10%の税額控除が認められています。

◆節税額の多寡で判断すれば
即時償却と税額控除との選択においては、税額控除が選択されるケースが多いと思われます。優遇税制としての即時償却は課税の免除や非課税ということではなく課税の繰り延べにすぎないのに対して、税額控除は純粋の課税免除だからです。減価償却という費用計上による税額の減少の外に、特典的に税額の減少が認められるので、税額減少額総額は税額控除の方が多いからです。

◆経営効率から判断すれば
ただし、それは減価償却耐用年数期間全体を通しての話で、取得からの早い時期での耐用年数期間に於いては、即時償却の方が税額減少額の総額が多くなります。即時償却に於いては、当初での税額減少効果が大きく、投資資金の早期回収効果、資金繰り効果、キャッシュフローの割引現在価値効果による有利性が認められます。また、税額控除の場合、実際に控除できるのは、その償却資産取得期の法人税の20%を上限とするという制限があるので、認められている10%の控除額の一部しか適用にならない、ということになることもあります。

◆リスクヘッジで判断すれば
投資リスクを考慮すると、税額控除よりも即時償却の方に軍配を挙げるべき、という考えを無視できません。リーマンショックの時は、売り上げが何分の1かになってしまい、経営の回復に何年もかかった、という企業は少なくありませんでした。そして今また、新型コロナウィルスショックが起き、日本経済も世界経済も急激な減速局面に入っています。その沈静化の予測は当面付きそうにありません。こういう局面こそ、即時償却か税額控除かの選択判断で、投資リスク回避を中心に据える時なのかもしれません。

お知らせ 2020月06月23日

(前編)居住用賃貸建物に係る消費税の仕入税額控除を適正化!

 2020年度税制改正において、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度が適正化されました。
2020年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額について適用されますが、経過措置があり、2020年3月31日までに締結した契約に基づき2020年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等については、適用されないこととされておりますので、該当されます方はご確認ください。

これにより事業者が、国内において行う居住用賃貸建物(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するもの)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととされました。
上記の仕入税額控除の制限を受けない住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物とは、建物の構造や設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかな建物をいいます。

(後編へつづく)

(注意)
上記の記載内容は、令和2年5月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

お知らせ 2020月06月23日

(後編)居住用賃貸建物に係る消費税の仕入税額控除を適正化!

(前編からのつづき)

例えば、その全てが店舗である建物など建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物、旅館、ホテルなど旅館業法に規定する旅館業に係る施設の貸付けに供することが明らかな建物などが該当します。
仕入税額控除の制限を受ける高額特定資産とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。
調整対象自己建設高額資産とは、他の者との契約に基づき、又は事業者の棚卸資産として自ら建設等をした棚卸資産で、その建設等に要した課税仕入れに係る支払対価の額の100/110に相当する金額等の累計額が1,000万円以上のものをいいます。

また、建物の一部が店舗用になっている居住用賃貸建物を、その構造及び設備その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分とそれ以外の部分(以下:居住用賃貸部分)とに合理的に区分しているときは、その居住用賃貸部分以外の部分に係る課税仕入れ等の税額については、これまでと同様、仕入税額控除の対象となりますので、該当されます方はあわせてご確認ください。

(注意)
上記の記載内容は、令和2年5月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

税務トピックス 2020月06月16日

コロナの損害分は繰戻還付可能

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で発生した損失は、2年前までに納めた法人税額の範囲で還付を受けられる「災害損失欠損金の繰戻還付」の対象となります。そのため、休業要請に応じたことで食材の廃棄損が生じた飲食業者や、イベントの中止で商品の廃棄損が生じた事業者は、繰戻還付の適用の検討を忘れないようにしたいところです。

災害損失欠損金の繰戻還付とは、災害時に発生した欠損金について、事業年度開始前の2事業年度(白色申告は1事業年度)分の法人税について還付を受けることができる特例。新型コロナに関する支出で制度の対象となるのは、飲食業者の食材の廃棄損やイベント業者の商品の廃棄損、感染防止のためのマスク・消毒液の購入費用、感染者の発覚で廃棄処分した器具備品等の除却損などとなっています。

なお欠損金の繰戻還付は通常は資本金1億円以下の中小企業しか適用できませんが、今年2月から2022年1月までに終了する事業年度に生じた欠損金に限っては、資本金1億円超10億円以下の法人でも還付対象とすることが認められています。新型コロナの影響で多くの事業者が被害を受けていることを踏まえた特例措置です。

<情報提供:エヌピー通信社>

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