お知らせ/トピックスTOPICS

コラム 2019月10月29日

《コラム》金融検査マニュアルの廃止

今後の資金調達に大きな影響を与える可能性

金融検査マニュアルとは、銀行など金融機関の経営を監督するための指針です。バブル崩壊後の不良債権処理に効果を発揮しました。債権先を「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に分類し、分類に応じた引当金を求めるものでした。再生局面の中小企業は事業再生計画の策定において、自社がどの債務者区分に分類されているかを把握する必要があることから、馴染みになった会社もあるかと思います。

 

◆廃止は事業性評価融資の促進

金融庁が2019年12月を目標に従来の検査マニュアルの廃止を明らかにしました。今は廃止後の検査・監督について意見を求めている最中ですが、中小企業に対してどう影響を与えるのでしょうか。貸し倒れ費用を柔軟に計上するよう促すことも求められています。また、2014年の日本再興戦略改訂に、具体策の一つとして「地域金融機関等による事業性を評価する融資の促進等」が盛り込まれています。つまり、国としては、事業性を評価した融資が行われるように促進する方針がすでに出ています。

 

◆評価に活用される指標

中小企業の事業を評価する際に活用されるツールとしてローカルベンチマーク(通称:ロカベン)があります。これは企業の経営診断を行うことを目的に、企業の経営者や金融機関、支援機関等が企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための道具で、事業性評価の入口になると期待されるものです。
具体的には、財務情報として①売上高増加率、②営業利益率、③労働生産性、④EBITDA有利子負債倍率、⑤営業運転資本回転期間、⑥自己資本比率の数値に着目します。非財務情報としては①経営者、②関係者、③事業、④内部管理体制について着目することによって企業の経営状態の変化に早めに気づき、早期の対話や支援につなげていくものです。

 

◆金融機関の対応変化に注意

マイナス金利政策が続く中、統廃合等金融機関を取り巻く環境が大きく変化しています。金融検査マニュアルの廃止をきっかけにして、お付き合いのある金融機関の対応が大きく変化するかもしれません。

税務トピックス 2019月10月29日

申告書閲覧、スマホ撮影可能に

 過去に提出した申告書を税務署で閲覧する「申告書等閲覧サービス」について、国税当局の事務運営指針が見直され、9月からは写真撮影が認められるようになりました。

 自宅などに保管していた申告書の写しを紛失した人が過去の申告内容を確認するには、写しの送付を税務署に求める開示請求を行うか、税務署に赴いて申告書を閲覧する「申告書等閲覧サービス」を利用する必要があります。開示請求は手数料がかかることに加え、開示されるまで1カ月程度待たなければならないといった点で利便性に難があります。一方で閲覧サービスは、手数料不要でその場で確認できるものの、コピーと写真撮影は認められていなかったため、手書きでメモを取らなければなりませんでした。

 撮影が認められる機器は、デジタルカメラやスマートフォンなど、その場で写真を確認できるものに限られます。動画撮影は認められません。撮影の都度、その場で税務職員が画像を確認し、不要な情報が写り込んでいる場合は消去と撮り直しが必要となります。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2019月10月22日

《コラム》今年も10月に最低賃金が改定されます

~時給1,000円時代に突入~

◆東京・神奈川は時給1,000円超に

毎年10月は、地域(都道府県)別最低賃金の改定月です。今回は、令和初の改定となりますが、東京都(1,013円)と神奈川県(1,011円)の最低賃金は、はじめて時給1,000円台に突入します。
一方、前回単独最下位だった鹿児島県は今回他県より改定幅を大きくしたため、佐賀県や長崎県などと同額の790円となり、単独最下位(今回15県)を脱出します。

 

◆全国平均も時給900円超に

以前から、地域別最低賃金は全国平均(47都道府県の加重平均)1,000円を目指すと言われていましたが、今回の改定で全国平均は901円と、はじめて900円を超えました。
近年の上昇ペースが今後も続けば、あと4~5年で全国平均も1,000円台に突入することになりそうです。

 

◆採用時以外でも最低賃金の確認を

パートやアルバイトを募集する際、最低賃金を確認して求人を出していると思いますが、既に雇用しているパートやアルバイトの時給が最低賃金スレスレだった場合の昇給モレや、月給制の場合に所定労働時間から換算した時給が最低賃金を下回っていることなどを見逃すケースがあります。

 

◆最低賃金法違反の罰則は重い

最低賃金法違反の罰則は、最低賃金を下回った場合は50万円以下の罰金、事業場での周知が行われていない場合は30万円以下の罰金、最低賃金違反を申告した労働者に対して解雇などの不利益な取り扱いをした場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金など、軽いものではありません。

 

◆産業別の特定最低賃金

地域別最低賃金の他、産業別の特定最低賃金も都道府県ごとに定められており、適用業種の特定最低賃金が地域別最低賃金を上回る場合、特定最低賃金が適用されるので、適用業種に該当する会社は注意が必要です。

コラム 2019月10月22日

《コラム》マンション管理組合と駐車場

◆マンション管理組合とは

マンションとは区分所有居住用建物のことです。ですからマンション管理組合とは区分所有居住用建物を管理する組合のことです。一般的には法人格はありませんが、法人格を持たせることもできます。法人格を持たせた場合、公益法人に準じた扱いを受けます。法人格がない場合は、代表者の定めのある人格のない社団となります。専有部分に関しても管理をしますが、共有部分に関する管理が主たる業務です。

 

◆税務上の取り扱い

法人格を有すれば法人として法人税の対象ですが、法人格のない社団でも法人とみなして法人税の対象となります。
通常は管理費収入のみで収益事業はありませんので税金がかかることもありませんし、申告も不要です。

 

◆駐車場収入の取り扱い

区分所有者や借家人がマンションの駐車場を有料で利用し、その駐車場料金を管理費や修繕積立金として管理組合が管理している場合は、共済的事業であるとして課税されませんが、問題は外部に貸している場合です。最近、都会では車を所有しない住民も多く、マンションの駐車場に空きができる場合もあり、管理費や修繕積立金に充てるため、外部の人に一般的な駐車場として貸し出しているケースが多々見受けられます。

 

◆税務当局の見解

このような場合駐車場の収入は、管理組合の収入として法人税を課税するというのが税務当局の基本的な対応です。
国税不服審判所や裁判で争われた事例もありますが、この税務当局の考えが支持されております。

 

◆素朴な疑問

区分所有建物の共有部分の所有権は区分所有者の持ち分に応じて区分所有者のものです。管理組合は単に管理を委任されているだけで、共有部分を所有しているわけではありません。本来であれば持ち分に応じて区分所有者の収入となると思われます。
もし管理組合の活動がなく直接管理会社が同様な行為を行った場合、はたして管理会社の収入ということになるのでしょうか?

コラム 2019月10月15日

《コラム》所得税における所得の概念

所得税は、所得を課税の対象とする租税ですが、「所得とは何か」について明確な定義はありません。「所得」とは何でしょうか。

◆制限的所得概念(所得源泉説)

各種の勤労、事業、資産から生ずる継続的な収入から得られる所得のみを課税対象とするものです。毎年発生する経済的利得のすべてが所得を構成するのではなく、所得の範囲を限定しようとする立場であり、一時的、偶発的、恩恵的な利得は所得の範囲から除く考え方です。
イギリスおよびヨーロッパ諸国の所得税制度は、伝統的にこの考え方に基づいていました。

 

◆包括的所得概念(純資産増加説)

継続的に一定の収入源から生ずる利得のみに所得の範囲を限定せず、その発生の原因のいかんを問わず、およそ一定期間内に各人について生じた純資産の増加額がすべて所得であるとする考え方です。一時的、偶発的、恩恵的な利得も所得を構成します。
1913年にアメリカ合衆国で作られた連邦所得税制度は、この考え方を基本的に採用しています。

 

◆日本の所得税法では?

日本の所得税は、明治20年に導入されました。第二次世界大戦前は、所得の範囲は制限的に考えられていました。
第二次世界大戦後は、シャウプ勧告などを経て、包括的な概念である今日のような制度に整備されました。

 

◆包括的所得概念のメリット

この概念の採用により、必要経費の概念は従来より大幅に拡張され、雑損控除・医療費控除といった所得控除も拡充されました。租税法の金子宏教授はこの概念のメリットを次のように指摘しています。①一時的・偶発的・恩恵的利得であっても、利得者の担税力を増加させるものである限り、課税の対象とすることが公平負担の原則の要請に合致する。②すべての利得を課税の対象とし、累進税率の適用のもとにおくことが、所得税の再配分機能を高める。③所得の範囲を広く構成することによって、所得税制度の持つ景気調整機能が増大する。(金子宏『租税法』第23版)

お問い合わせCONTACT

お気軽にご連絡ください。初回のご相談は無料です。

確定申告・相続税対策、起業・経営支援まで
大森駅より徒歩3分 品川区・大田区で税理士をお探しの方へ

〒140-0013 東京都品川区南大井6丁目26番1号 大森ベルポートA館9階
JR京浜東北・根岸線快速「大森駅」北口より徒歩3分/京浜急行線「大森海岸駅」より徒歩4分

03-5471-0751平日10:00~17:00 無料相談窓口