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コラム 2025月05月30日

《コラム》外国株式配当金の外国税額控除

 個人の外国株式の配当金には外国の所得税が課されるほか、日本においても日本の所得税、住民税が課されます。同じ所得について二重課税となりますが、外国税額控除制度を利用して外国税額の全部又は一部を取り戻すことができます。

◆確定申告が必要となる場合
 外国株式が日本の証券会社に預託される場合、外国の所得税と日本の所得税、住民税が源泉徴収されますが、外国の証券会社に預託される場合は、外国の所得税の源泉徴収しか行われません。このため、源泉徴収される給与所得や退職所得以外で所得金額20万円を超える居住者には確定申告が必要となり、配当所得を総合課税又は申告分離課税で申告します。

◆外国税額控除額の算出
 外国税額控除は原則、その年に納付義務の確定する外国所得税に適用します。その年の所得税額のうち国外所得金額に対応する部分の金額を控除限度額とし、外国所得税額を所得税、復興特別所得税、道府県民税、市町村民税から順に控除します。
 その年の外国所得税額が控除限度額以下となる場合は、余った控除限度額(控除余裕額)を翌年以降3年間繰り越して、それぞれの年の控除限度超過額に充当できます。また、その年に控除しきれなかった外国所得税額(控除限度超過額)は、翌年以降3年間繰り越してそれぞれの年の控除余裕額から控除できます。

◆所得税の外国税額控除限度額の算定式
 所得税の外国税額控除限度額=所得税額 × A/B
 A:その年分の調整国外所得金額
 B:その年分の所得総額

◆外国税額控除の確定申告
 外国税額控除を受ける場合、確定申告書に「外国税額控除に関する明細書」と「外国所得税が課税されたことを証する書類」を添付します。「外国税額控除に関する明細書」は国税庁の書式に、所得の種類(株式の配当)、納付日(配当金の支払日)、課税標準額(配当金額、外貨と円換算額)、外国所得税額(源泉徴収税額、外貨と円換算額)等を記入します。外国証券会社の場合は年次報告書等から把握でき、配当日の為替相場(TTM)を乗じて円換算額を求めます。
 なお、e-Taxで申告すると「外国所得税が課されたことを証する書類」は第三者作成書類として手元に保管することで申告書の添付を省略できます。

コラム 2025月05月27日

《コラム》M&Aがぐっと身近に ~事業承継・M&A補助金~

◆経営を未来につなげる選択肢
 「このまま続けていいのか」「後継者が見つからない」。そんな悩みを抱える中小企業の経営者にとって、M&Aは決して特別なものではなくなってきました。国もこの動きを強く後押ししており、令和7年度にも「事業承継・M&A補助金」として、具体的な支援策がスタートする予定です。

◆最大1,000万円、専門家費用も補助
 この補助金は、事業承継やM&Aの際にかかる設備投資や専門家活用の費用などに対し、最大1,000万円(補助率2/3)を支援してくれるものです。たとえば、親族内や従業員への承継、第三者への売却など、経営のバトンをつなぐための支出をグッと軽減してくれます。

◆「売る」だけでなく「成長」の選択肢にも
 補助の対象は「売りたい企業」だけではありません。「これから買って広げたい」企業も、M&Aに伴うPMI(統合支援)費用などで使えます。また、譲渡・譲受のどちらでも専門家や仲介への報酬支出がサポートされるため、安心して検討が可能です。

◆申請はこれから本格化。準備がカギ
 この制度は、2月に事務局公募が完了し、現在(3月時点)補助金の詳細公募に向けた準備が進められています。本格的な募集が始まる前に、顧問税理士や中小企業診断士と一緒に計画を立てておくと申請時にスムーズです。
 この補助金は後継者難による“消滅”を防ぐだけでなく、「今のうちに会社の価値を高めて譲る」という考え方も応援しています。誰かに託すことは、会社の未来を守る立派な経営判断。廃業か継続か、悩む前に“第三の道”としてのM&Aを選択肢に入れてみませんか?

◆未来をつなぐ制度、まずは相談から
 制度をうまく活用すれば、これまで諦めていた選択肢が現実になります。まずは「相談してみる」ことから始めてみましょう。その一歩が、未来を変えるかもしれません。制度をうまく活用すれば、これまで諦めていた選択肢が現実になります。迷ったら、一度専門家に話を聞いてみるのがおすすめです。

税務トピックス 2025月05月20日

(後編)国税庁:令和5年分の国外財産調書の提出状況を公表!

(前編からのつづき)

 財産を種類別にみてみますと、「有価証券」が最多の4兆905億円(63.0%)、以下、「預貯金」8,479億円(13.1%)、「建物」5,064億円(7.8%)、「貸付金」1,835億円(2.8%)、「土地」1,620億円(2.5%)、「それ以外の財産」6,993億円(10.8%)となりました。

 なお、国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載して提出するため、適正な提出を確保するために以下の特例措置などが設けられております。
①提出された調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を5%軽減
②調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を5%加重
③国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示等がない場合の加算税の軽減措置または加重措置の特例
④正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の懲役または50万円以下の罰金
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和7年4月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2025月05月20日

(前編)国税庁:令和5年分の国外財産調書の提出状況を公表!

(前編)国税庁:令和5年分の国外財産調書の提出状況を公表!

 国税庁は、令和5年分(令和5年12月31日時点)の国外財産調書の提出状況を公表しました。
 国外財産調書の提出制度は、平成26年1月(平成25年12月31日分)から施行され、今回で11年目の集計となります。
 それによりますと、令和5年分の国外財産調書の提出件数(令和6年7月1日までに提出されたもの)は1万3,243件あり、前年分の1万2,494件より749件増加しました。

 国税局別の提出件数は、東京局8,438件(63.7%)、大阪局1,920件(14.5%)、名古屋局892件(6.7%)、その他1,993件(15.0%)となりました。
 総財産額は6兆4,897億円で、前年分5兆7,222億円より7,675億円増加しました。
 国税局別にみてみますと、東京局は前年分より7,346億円多い5兆895億円で全体の78.4%を占め、大阪局は6,277億円(9.7%)、名古屋局2,651億円(4.1%)、その他5,074億円(7.8%)となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和7年4月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

コラム 2025月05月13日

《コラム》評価乖離率による評価の効果

◆2025年からのマンション評価方式
 マンションの財産評価は、建物(固定資産税評価額)と土地(路線価評価額)の合計とされていますが、2025年からは、この建物と土地の評価額に補正率を乗ずることとされています。
 補正率は、評価乖離率(E)の値で異なり、次のように定められています。
①Eが1/0.6超 (×E×0.6)
②Eが1以上1/0.6以下(×1補正なし)
③Eが1未満 (×E)
評価乖離率(E)は、「E=A+B+C+D+3.220」の算式で求めるものとされています。そして、各ABCDは次の内容とされています。
A=築年数×△0.033
B=総階数÷33×0.239(33階が限度)
C=対象物件の所在階×0.018
D=敷地持分狭小度×△1.195
敷地持分狭小度は、<敷地の持分面積÷床面積>で求めます。
 ABCDの合計値がゼロでも、Eには3.22という絶対値が加算要素に設置されているので、①に該当し、従来評価額の(3.22×0.6)倍の評価修正となります。

◆評価乖離率(E)の各計算要素
 Aは、マイナス要素となる項目で、築100年のマンションは△3.3なので、絶対値3.22を超えてEをマイナス値に誘導します。
 Bは、高層マンションほど評価を高く修正するという項目ですが、33階以上のものは33階として計算する限度設定が設けられています。33階以上のマンションは一律0.239の値となります。
 Cも、高層階ほど高い修正評価とする項目で、これには限度設定がなく、100階の高層マンションの最上階の部屋は1.8の値となります。
 Dは、マイナス要素となる項目であるが、容積率の逆数に近い敷地持分狭小度を基準にしているので、高層マンションのように容積率が異常に高いと敷地持分狭小度は異常に小さくなり、マイナス効果が縮減するようになっています。

◆評価結果の傾向
 低層の築古で、総床面積に近い敷地面積を持つマンションでは、BC値が小さく、ADのマイナス値が大きくなるので、評価乖離率が1よりも小さくなり、従来の評価額よりも低額になることがあります。逆のケースでは、何倍もの評価になってしまいます。

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