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コラム 2018月03月27日

【時事解説】仮想通貨による資金調達と可能性

最近、ビットコインなどの仮想通貨に注目が集まっています。昨年末、仮想通貨の価格が暴騰し、億単位の利益を得た投資家が続出しました。そのため、投機的な商品として話題になっています。
 実のところ、仮想通貨は投資だけでなく、企業の資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)の手段としても活用が進んでいます。ICOとは、どのようにして資金を集める方法なのでしょうか。
 資金調達といえば、IPO(新規公開株、株式上場)が手段の一つとしてよく知られています。ICOの仕組みはIPOと共通点が多くあります。IPOの場合、企業は株式を発行し、投資家に株式を買ってもらい資金を集めます。ICOは株式の代わりに、トークンとよばれるデジタル権利書を発行します。企業は投資家に事業内容などを説明し、賛同する投資家はトークンの代金として仮想通貨を払い込みます。資金として、現金ではなく、仮想通貨を払い込んでもらうところに特徴があります。

 ICOは、米国では盛んに行われています。日本では端緒についたばかりですが、すでに109億円を調達した企業も出ています。なにより、ICOのメリットは、IPOと比べて審査が簡便なので、手軽に実施できる点にあります。IPOよりも早く資金を調達できることが魅力です。
 投資家のメリットはトークンが仮想通貨の取引所に上場されれば、新たな仮想通貨として取引できます。加えて、トークンは株式と同じように売買時の価格(株式でいえば株価のようなもの)がつきますが、価格が上昇すれば、株式と同じように、売却による差益を得ることができます。

 とはいえ、リスクも多くあります。投資先のプロジェクトが失敗すれば、株式と同じように投資家は損失を被ります。しかも、株式と違い、議決権がないので、投資対象の企業が破綻しても、残余財産を受け取ることができません。

 もう一つの懸念は、仮想通貨の価格が安定しないことです。仮想通貨は多数の種類がありますが、もっとも有名なビットコインは、昨年12月に約240万円程度の価格をつけました。しかし、2018年1月、価格が大幅に下がり、100万円を割れたこともあります。企業は仮想通貨で資金を集めても、仮想通貨の価値が下がると、せっかく集めたお金の価値が下がってしまいます。
 また法が整っていないため、詐欺まがいの案件が生じていることもあげられます。
 このほか、大きな懸念は、中国や韓国など、ICOによる資金調達を禁止する国が出ていることです。その一方で、スイスなど、規制を緩めICOを容認する国もあります。また、米国やカナダなど、ICOについて育成の姿勢をみせる国もあります。日本は禁止の姿勢はみせておらず、法整備を進めている段階にあります。リスクは多いもののメリットも多いICO。今後に注目です。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

コラム 2018月03月27日

《コラム》無期転換申込権発生に備えての対応

◆無期転換申込権とは
 今年の4月より無期転換制度が始まります。この法は従前には無かった新しい制度であり企業に有期雇用労働者がいる場合、必要な手続を行う事が求められます。
 無期雇用転換制度とは労働契約法第18条(有期労働契約者の期間の定めのない労働契約への転換)に規定されています。
 「同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了するまでの間に、当該満了日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の申込みをしたときは、使用者は申込みを承諾したものとみなす」と言うものです。つまり同一事業主の下、有期労働契約を更新していて5年を超えた時、本人が無期転換申し込みをしたら定年・再雇用までの継続勤務として扱うと言う事です。

◆目前に迫る開始期日と対応
 対象労働者は平成25年4月1日以降に有期雇用契約をし更新した方が、平成30年の4月1日以降通算5年を経過すると、無期転換申込権が発生、その日以降いつでも、申し込みができる状態になる訳です。
 具体的な対応としては、
(1)平成25年4月1日以降に有期雇用契約をした対象者に対し転換時期(通算5年を超えた日)を知らせる必要があります。
 その際、就労実態を調べ社内の仕事を整理区分し任せる仕事を考えます。また、無期雇用とは必ずしも正社員と同一労働条件を指すものではないので、今までと同じ待遇と言う場合もあるでしょう。
(2)無期転換雇用者就業規則の定めをする
(3)高年齢者や再雇用者の対応  
 有期特措法の適用で定年後の継続雇用の方の無期雇用の適用除外認定手続きを取る。

◆今後の会社の方針を検討する
 有期雇用労働者を5年以上続けて雇い入れている企業は、今後どのような方法を採るかを考える必要があります。
(1)正社員や多様な正社員への登用
(2)雇い入れ期間設定(通算5年未満)や勤務評価の上限設定。但し申込権発生直前の雇止めは慎重さが必要です。
(3)申し込みがあれば無期雇用にはするが労働条件は変えない
……等があります。

コラム 2018月03月20日

《コラム》個人情報の利用目的の変更

◆すべての事業者が個人情報保護法の対象に
 平成27年9月3日に成立した改正個人情報保護法が、平成29年5月30日から全面的に施行され、すべての事業者が個人情報取扱事業者として同法の適用を受けることになりました。
 個人情報取扱事業者は、個人情報の利用目的を特定したうえで、個人情報を取得した際に、これを公表または本人に通知しなければならないとされています。
 しかし、本人に通知していた利用目的に漏れがあったり、事業の拡大により利用目的の追加が生じることも考えられます。その場合はどのように対応すればよいのでしょうか。

◆利用目的の変更が認められる範囲
 まず、一旦通知した個人情報の利用目的を一方的に事業者が変更できるとすれば、事前に利用目的を通知しなければならないとした趣旨を没却することになります。そこで、原則として、本人の同意がなければ利用目的を変更することはできません。本人の同意を得る手続は、事業者にとって非常に負担の大きいものとなります。
 もっとも、例外的に、「変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲」については、変更後の利用目的を本人に対して通知するか、公表することにより、個人情報を利用することができるとされています。
 例えば、フィットネス事業者における「顧客の食事メニューの指導」と「当該食事メニューに関する食品販売」という利用目的は、関連性を有するものとして認められると考えられています。

◆目的外利用に対する制裁とは
 では、本人の同意を得ずに利用目的を変更した場合など、本人に通知していた目的の範囲外で個人情報を利用した場合はどうなるのでしょうか。 
 個人情報保護法では、法令に基づく場合(例:裁判官の令状による場合)など目的外利用が認められる例外事項が列挙されています。しかし、これらに該当しない場合には同法違反の行為となりますので、個人情報保護委員会という組織より、指導・助言、勧告・命令などを受ける可能性があります。また、これらの監督に従わなかった場合には、罰則が設けられています。

コラム 2018月03月20日

《コラム》健康保険の被扶養者が収入増で外れるとき

◆健康保険の被扶養者とは
 健康保険の扶養家族となる被扶養者とは被保険者の収入により生計を維持している人を言い、被扶養者の直系尊属、配偶者(事実婚を含む)、子、孫、弟妹、兄姉、および被保険者と同居している三親等以内の親族や事実婚の配偶者の父母、子も対象です。
 生計を維持しているとは被保険者の収入により生活していることで、その基準としては年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)である事です。

◆配偶者控除の改正でどうなる?
 所得税法の改正で平成30年分の所得から配偶者控除が引き上げられることになりました。これにより給与所得だけの配偶者の場合、従来は収入が「103万円」まで配偶者控除が適用されていましたが「150万円」まで拡大されます。
 健康保険の被扶養者でパートで働く配偶者は税制メリットを受けるので働く時間を増やして収入を増やそうと考える場合もあるでしょう。しかし健康保険上の被扶養者の収入要件の変更はないので、年収が130万円未満でないと被扶養者でなくなってしまいます。勤務する会社の健康保険・厚生年金保険に加入するか、自ら国民健保や国民年金に加入することになります。

◆健保の被扶養者を外れる時
 収入が増えて被扶養者でなくなる時期はいつの時点なのでしょうか。税法上の配偶者控除対象者は1月から12月の1年間の所得を見ますが、健康保険の被扶養者の認定は今後1年間の収入額の見込み額で判断します。したがってパートやアルバイトの給与収入だけであれば過去1年分の給与の合計が130万円以上となった時点で被扶養者から外れるのではなく、これから1年間で130万円以上が見込まれるようになった時点で被扶養者でなくなります。この場合の給与収入には通勤手当も含まれます。
 具体的には目安ではありますが1か月の収入が108,333円(130万円÷12か月)を常に超していれば、超えることがはっきりした時点で外す手続きをとることになります。
 雇用契約の変更による勤務日数や時間の増加で130万円を超えると見込まれたときは、その契約開始日が被扶養者でなくなる日となります。

お知らせ 2018月03月13日

《コラム》財産調査と納税通知書

◆相続と財産調査
 誰かが亡くなり相続が発生したときや遺言を作成するときなど、「相続」を考える際には財産の調査をしなければなりません。預貯金や不動産、株、保険など財産はさまざまですが、今回は不動産の調査方法について考えます。

◆不動産の財産調査方法
 どのような不動産を持っていたのかを調べる際は、たとえば次のような資料が参考になります。
①固定資産税の納税通知書(課税明細書)
②登記済証(権利証)・登記識別情報
③名寄帳
 このうち、①②は自宅にあるもの、③は市区町村役場で取れるものです。多くの場合、不動産には固定資産税がかかりますので、毎年市区町村役場から送付される①固定資産税の納税通知書は比較的目にすることが多く、不動産を特定する足掛かりになります。

◆納税通知書の注意点
 ここで注意したいのが、この納税通知書に載るのはあくまで「課税されている不動産」だけであるということです。認識している不動産が自宅の土地と建物しかない場合、納税通知書だけを確認すればよいと考えがちですが、そうすると課税対象ではない道路などを見落としてしまうことがあります。せっかく遺言で相続の準備をしたり、遺産分割を取りまとめて協議書を作成しても、一部の非課税不動産を見落として作成してしまうと、相続紛争の原因になったり、相続した不動産を売却するのが難しくなったりすることもあるため、注意が必要です。

◆財産調査は慎重に
 ②はいわゆる不動産の権利証のことですが、これも紛失している場合には不動産を特定することができません。そこで登場するのが③の名寄帳(なよせちょう)です。これは、市区町村役場にある所有者ごとの不動産を、非課税不動産も含めて一覧にしたもので、自治体により「資産明細」「課税台帳の写し」など呼び方はさまざまです。現在の住所地や過去住んでいた場所、本籍地など、可能性のある市区町村役場で名寄帳を取ることで、所有していた不動産を確認することができます。少し手間ではありますが、財産の調査は慎重に行うことが肝要です。

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