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コラム 2018月11月20日

《コラム》大きく変わる今年の年末調整

◆平成30年分の所得税から控除が変わる 
 平成29年度の税制改正において、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分の所得税から適用されることになりました。これに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書の記載事項等の見直しが行われていますので、今年の年末調整事務は注意が必要です。

◆変更点1 配偶者控除の見直し
 従来は所得者本人の所得金額に制限はなく、控除対象配偶者がいる場合は誰でも38万円(老人控除対象配偶者の場合48万円)の控除が受けられました。しかし、改正後は、所得者本人の収入に応じて控除額が逓減する仕組みが加わり、本人給与収入が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えた場合の控除額は次のようになります。
(1)給与収入1,120万円超1,170万円以下(所得金額900万円超950万円以下)の控除額26万円〈32万円〉
(2)給与収入1,170万円超1,220万円以下(所得金額950万円超1,000万円以下)の控除額13万円〈16万円〉
(3)給与収入1,220万円超(所得金額1,000万円超)の控除額0円
 ※〈 〉内は老人控除対象配偶者の控除額

◆変更点2 配偶者特別控除の見直し
 対象となる配偶者の所得金額が給与収入150万円以下(合計所得金額85万円以下)の場合、配偶者控除と同額の控除が受けられるよう見直されました。また、適用範囲が拡大し、配偶者の合計所得金額が改正前の「38 万円超 76 万円未満」から「38 万円超 123 万円以下(給与収入103万円超201万円以下)」となりました。一方、配偶者控除と同様に、所得者本人の合計所得金額に応じて控除額が逓減する仕組みが加わっています。

◆留意すべき事項
 改正後の配偶者特別控除は適用区分が細分化され、複雑化しています。所得者本人と配偶者の所得金額を正確に把握しないと控除額の計算が行えませんので、配偶者特別控除申告書の記載に当たっては十分な確認が必要でしょう。また、配偶者特別控除を受けられる配偶者の所得金額要件が拡大しましたが、社会保険の被扶養者要件は変更されていませんので、被扶養者となるためには所得調整が必要です。

お知らせ 2018月11月13日

寡夫控除を未婚も対象に

離婚や死別によってひとり親となった人に所得税や住民税の軽減を認める「寡婦(寡夫)控除」について、未婚者も対象にするよう厚労省が要望する方針を固めました。2019年度税制改正への要望書に盛り込みます。

 寡婦控除は、離婚や死別によって配偶者を亡くした上で、子どもを扶養親族として養っているか、年収500万円以下のどちらかの条件を満たす人を対象にしています。どちらかの条件を満たすと27万円、両方を満たすと35万円が所得から控除されます。また寡夫控除では、両方の条件を満たした時に27万円の控除ができます。しかし、どちらも民法上の婚姻関係があったケースに限られ、未婚のいわゆるシングルマザーなどについては税優遇を受けられないことから、不公平との声が上がっていました。
 厚労省はこうした声を受け、年末にまとめる19年度税制改正に向けた要望に、寡婦(寡夫)控除の非婚者への対象拡大を盛り込みます。

 すでに8月末には保育園や幼稚園の保育料について、未婚のひとり親についても寡婦(寡夫)控除が適用されるとみなして減免する措置が閣議決定され、9月からスタートしています。寡婦(寡夫)控除の見直しは後追いとなりますが、改正はほぼ決定的と言えそうです。

 また厚労省は、児童養護施設などを出て進学・就職する若者を税制面で支援することも併せて要望する見通し。現在では生活費や家賃の貸付金は5年間働き続ければ免除されますが、一部は免除益として所得税が課されています。非課税措置を講じることで、若者の自立を促す狙いがあります。
<情報提供:エヌピー通信社>

お知らせ 2018月11月13日

《コラム》許認可と社会保険

◆建設業者への加入促進対策とその結果
 建設業者に対する社会保険の加入促進対策は数年前から進められていましたが、今後はより一層強化されます。
 さかのぼること平成24年、国土交通省は、「平成29年までの5年計画で、建設業許可業者の社会保険加入率100%」を目標に掲げました。社会保険の加入義務化で労働環境の改善を促し、若年層の人材確保につなげることがねらいです。
 具体的には、公共工事に入札する際に受審しなければならない「経営事項審査」で、未加入事業者に対する減点を拡大したこと、新規許可申請や更新の際には、保険加入状況を確認・指導し、指導に従わない企業を保険担当部局に通報することで、加入の促進を図ってきました。

◆許可そのものが認められない可能性も
 保険担当部局からの指導が繰り返し行われることで、結果的には事業者の多くが加入する流れになっていたのですが、これまでの運用では新規許可や更新の申請そのものが認められないということはありませんでした。しかし、今年に入り国土交通省が固めた方針では、社会保険に加入していない建設業者に対しては建設業の許可・更新そのものを認めない仕組みを検討するとして、さらに社会保険加入を徹底、定着させるようです。

◆加入促進対策は他の許認可でも
 社会保険については、ここ数年にわたり厚生労働省による加入適用が進められてきました。貨物自動車運送業者や旅客自動者運送業者に対しても、処理方針で許可の審査項目として社会保険への加入が定められています。
 こうした各許可行政庁を媒体とする加入強化対策は他にも広がりつつあります。厚生労働省では、同様の取り組みを理・美容業、飲食業などにも適用する方針を示しており、既に各自治体に対して、新規営業許可申請時に社会保険の加入状況について確認するよう協力依頼を行っています。許認可と社会保険、どうやら今後は切っても切れない関係になりそうです。

お知らせ 2018月11月6日

《コラム》社内研修参加と労働時間

◆労働時間の新たなガイドライン
 平成29年1月に厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が発表されています。以前からあった基準は廃止され新たなガイドラインが示されました。それには労働時間とされる場合が3つありますが、その中の社員研修に関する労働時間についてみてみます。
 「研修に参加する事が業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習を行っていた場合」は労働時間に該当するとしています。しかし、使用者から何らかの指示があれば自主研修はすべて労働時間だと判断するのではなく個別に考える必要があります。

◆裁判例等から検討される観点
 裁判例では労働時間とみなされるのは次の3つの観点があります。
①時間や場所での制限によって行動に相当の制約がされているか⇒所定の労働のように指揮命令下での労働における行動の拘束下と言えるか
②使用者からの義務付けの態様、程度(明示、黙示の命令か、黙認か)⇒指揮命令のレベルの強弱
③要した時間が社会通念上必要であるか

◆社内研修について
 従業員が会社で実施する研修に参加した場合、労働時間に該当するかどうかはよく問題になります。社内研修が一定の場で所定の時間に開催されていれば前記①の要件を満たします。また、②の使用者の義務付けでは通達において「就業規則上の参加しない事による制裁等不利益扱い無く自由参加」であるかどうかが争われます。研修の参加、受講は業務上の義務であるか否かであり、不参加によるペナルティ等事実上の不利益によって強制される場合も業務に含まれるとしています。

◆自主研修の場合は
 スキルアップのためのWEB学習などは社内等場所の制約、業務上の必要性が高く業務命令的要素が強い事、学習状況を会社が把握している等であれば業務上となる要素は強く、逆に労働時間外に行わせるならば原則事業場内では学習を行わせない、学習自体を義務付けしない、あくまでも一定のスキルアップ程度に留める、本人の自主性に任せ会社は管理、監視はしない等が必要です。

お知らせ 2018月11月6日

在職老齢年金 撤廃視野に見直し検討

働く人の年金支給額を減らす在職老齢年金制度で、制度がなければ60代の男性でフルタイム就業を選ぶ人が約14万人増えるとの分析結果を内閣府がまとめました。深刻化する人手不足に対応するため、政府は制度の撤廃を視野に入れた見直しを検討しており、今後の議論に影響を与えそうです。

 在職老齢年金制度は、厚生年金保険に加入して働いている高齢者が対象。60~64歳では年金と賃金の合計が月28万円、65歳以上では月46万円を超えると年金支給額が減額されます。賃金が増えるほど減額幅は大きくなり、「フルタイムの就業をためらわせる要因になっている」(政府関係者)との指摘があります。

 内閣府は、中高年者の就業状況などを調査した国のデータに基に、在職老齢年金制度や健康状態、親の介護、企業の継続雇用制度の有無など、どのような要因が就業選択に大きな影響を与えているかを分析。在職老齢年金制度がない場合、60~69歳の男性で、パートを選択する人は6.4万人減り、働かない選択をする人も7.7万人減少。その分、フルタイムを選ぶ人が約14万人増えるとの結果を示しました。

 政府は今年の「骨太の方針」で在職老齢年金制度の見直しを明記。「高齢者の勤労に中立的な公的年金制度を整備する」として制度の廃止や減額幅の縮小などを検討する方針です。厚生労働省の有識者会議で4月から議論を開始しており、2020年の通常国会への法案提出を目指しています。

 ただ、制度を撤廃すれば支給停止している年約1兆円が年金財政の重荷となります。制度改正の効果で高齢者の就労時間が増え年金納付額が増えなければ、支払いだけがかさむ結果に終わりかねません。
<情報提供:エヌピー通信社>

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