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コラム 2019月10月1日
この事件の報道を聞いて私が驚くのは、決算書の正確性をなにより大切にすべき銀行員が、決算書の数値は自分が望むように操作できると思っているという決算書に対する認識の甘さです。
この不正に関わっていた個々の職員がどのような心の葛藤があったのかは分かりません。周りがやっているからということで何の迷いもなく決算書の改竄に手を染めたのか、あるいは上司に言われ、不本意ながら本当にやむを得ず、断腸の思いで不正に加担してしまったのか。もし前者だとしたら、銀行員の決算書に対する意識の低さに唖然としますし、彼らに対して改めて会計の倫理教育の徹底が必要となります。もし後者だとしたら、個人の正義感をも押し殺してしまう、組織と個人のあり方を問い直さなければなりません。
現在、AI(人工知能)が取って代わることのできる職務は何かということが雑誌などで盛んに特集されています。銀行の融資業務もAIで代替できる業務の一つとして取り上げられていますが、銀行のメイン業務である融資がAIに代わることの抵抗感は銀行及び銀行員の間では根強いはずです。融資がAIには代替できない理由の一つは、AIでは機械的な冷たい融資判断となるが、人間であれば、決算書の数値の行間を読んだ、柔軟な融資判断ができるという点にあります。しかし、柔軟な融資判断に、粉飾による不正な融資までも含まれてしまうとすれば、AIに冷徹に融資判断してもらった方がいいと言われても反論はできないでしょう。
今回の不正事件は銀行員のレーゾンデートル(存在意義)を揺るがす重大事件であるとの認識を銀行員は持たなければならないと思います。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
コラム 2019月10月1日
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スルガ銀行における書類の改竄による不正融資事件が大きな社会問題になっています。銀行員の書類改竄といえば、少し前には商工中金による決算書の改竄事件が話題になりました。私は決算書の正確性を何よりも重んじるべき銀行員が決算書の改竄に手を染めたことに驚くと同時に、これはこれからの銀行融資に思ったより打撃を与えるのではないかという思いを持ちました。そこで、本稿では商工中金事件を題材に銀行員と決算書の関係を考えます。 銀行員が企業融資の可否を判断する最も重要な資料は決算書となります。ですから、銀行員にとって決算書は重要であり、決算書の不正は許せないものであるはずです。上場企業の決算書は会計監査人の監査を得て、一応の正確性の外的担保はなされていますが、非上場企業の決算書にはそうした外的担保がないため、銀行員は経営者に適正な決算書の提出を強く求めます。にもかかわらず、その銀行員が決算書の不正に手を染めていたのでは、経営者に適正な決算書を作成してくれとはいえなくなります。 これまでの銀行における粉飾とは、そのままではとても融資ができないような内容の悪い会社の決算書の数値を良い方向に改竄し、不正に融資を引き出すというものでした。今回は逆に売上高や利益を悪い方向に操作して、公的な資金を引き出しています。通常の粉飾とは逆方向だから、許されるという性質のものではありません。どちらも決算書の数値を自分の都合のいいように恣意的に操作して不正に資金を獲得していることには変わらないのですから。(つづく) (記事提供者:(株)日本ビジネスプラン) |
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税務トピックス 2019月09月24日
地方税共通納税システムが、2019年10月1日より稼働され、これにより複数の自治体への納税が一度の手続きで済むようになります。
また、全ての都道府県、市区町村へ自宅や職場のパソコンから電子納税ができます。
現在の納税手続きの多くは、地方公共団体が 送付した納付書に基づいて、金融機関等の窓口を通じて行われ、手続きが煩雑、納税者、地方公共団体それぞれに事務負担が大きいとされていました。
また、既存の電子納税は一部の団体のみが対応しており、それぞれに電子納税する必要がありました。
それに対して、地方税共通納税システムは、
①全地方公共団体へ電子納付が可能
②電子申告と合わせて申告から納税まで一連の手順で行える
③複数の地方公共団体への一括納付により、納付事務の負担が軽減される
④ダイレクト納付が可能
⑤地方公共団体が指定する金融機関以外からも納付が可能などの特徴があります。
地方税共通納税システムで取り扱う税目は、稼働当初においては現行のeLTAX電子納税の取扱税目を対象とし、将来的には、賦課税目等の追加も検討するとしております。
(後編へつづく)
(注意)
上記の記載内容は、令和元年8月5日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
税務トピックス 2019月09月24日
(前編からのつづき)
稼働当初は、電子申告データと連動し納付する税目として、法人都道府県民税、法人事業税、地方法人特別税、法人市町村民税、事業所税、個人住民税(退職所得に係る納入申告)があり、本税以外の延滞金、各種加算金、督促手数料の支払もできます。
また、納税者が納付金額を直接入力し納付する税目として、個人住民税(特別徴収分、延滞金等含む)、法人都道府県民税の見込納付及びみなし納付、法人事業税の見込納付及びみなし納付、地方法人特別税の見込納付及びみなし納付、法人市町村民税の見込納付及びみなし納付が取り扱われます。
個人住民税は、企業が複数の地方公共団体に毎月納付する必要があるため、同システムによる納付事務の効率化が期待できます。
将来的には、クレジット収納やコンビニ納付などの収納チャネルの追加も検討され、納税者の利便性向上が期待されるダイレクト方式を利用により、国税(e-Tax)では導入済みである、税理士が代理申告の手続きの中での納付手続きも可能になります。
今後の動向に注目です。
(注意)
上記の記載内容は、令和元年8月5日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
コラム 2019月09月17日
いよいよ本年10月からの消費税率引き上げが迫ってきました。税率引き上げの影響の大きい住宅については、税制上の対策だけではなく、税制以外の対策も取られています。
◆住宅についての税制上の対策措置
(1)住宅ローン控除等の拡充(所得税)
消費税率10%の適用を受ける住宅の取得等については、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住の用に供した場合、住宅ローン控除の適用期間が10年間から13年間に延長されます。
(2)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠の拡充(贈与税)
直系尊属からの贈与により取得した住宅取得等資金で一定の要件を満たすものについては、非課税限度額までの金額について贈与税の課税価格に算入されません。従来の非課税枠は最大1,200万円でしたが、消費税率10%の適用を受ける住宅については、非課税枠が最大3,000万円まで拡充されています。
◆税制以外の対策措置
(1)すまい給付金の拡充
すまい給付金は、消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設した制度です。消費税率が8%に引き上げられた平成26年4月にスタートした制度で、最大30万円給付されるものでした。本年10月の消費税率10%への引き上げ後は、最大給付額が50万円まで増額されます。
新築・中古、住宅ローンの利用の有無にかかわらず給付が受けられますが、収入(都道府県民税の所得割額)によって給付額が変わる仕組みとなっています。
(2)次世代住宅ポイント制度の創設
次世代住宅ポイント制度とは、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅や家事負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームをした人に対し、さまざまな商品と交換できるポイントを発行する制度です。
住宅の新築(貸家を除く)の場合、1戸あたりに発行されるポイントの上限は35万ポイント、住宅のリフォーム(貸家を含む)の場合、1戸あたりに発行されるポイントの上限は30万ポイントです。
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