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コラム 2017月06月27日

経営者個人保証解除の条件

全国銀行協会と日本商工会議所などが、強制力のない自主ルールとして「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、銀行借入に付随する経営者(社長)個人保証の解除を徐々に進めています。そこで、かつては銀行融資において常識であった経営者個人保証の解除の要件を考えてみたいと思います。

 よく考えてみれば、企業融資に必ず社長個人保証がつくというのは、おかしな常識です。株式会社は株主有限責任に見られるように、個人の責任を限定的にすることにより、個人の出資をしやすくし、会社でビジネスリスクを取りやすくしたものです。社長といっても、会社とは別人格というのが前提であり、別人格であれば、会社は倒産しても社長個人は生き残ることができるはずです。しかるに、会社への融資について、社長の個人保証をつけ、会社が破綻したときには、社長の個人財産まで身ぐるみはぎとられるようでは、個人で事業をやっているのと何ら変わらなくなってしまいます。

一方、銀行側も、社長の個人財産まで立ち入って、個人への生活を脅かしながら、会社への融資金に対する返済請求を行うのは、気が進まない仕事です。また、社長が多額の隠し財産を持っていることはそれほど多くありませんので、効率のいい仕事でもありません。

 それではなぜ、銀行は社長個人の保証を要求するのでしょうか。そこには大きく二つの理由があると思われます。

 第一は社長の心構えです。社長には全身全霊をかけて経営にあたってほしいのです。会社は個人とは別物だから、適当に仕事をして、会社がつぶれても自分の財産だけはしっかり守り、安穏の生活を確保しようという社長では安心して融資はできません。自分の全財産をかけて仕事をしているという心意気が必要です。

 第二は決算書の透明性です。決算書は経営者自身が作成しますから、経営者が自分に都合のいいように作るリスクが常に存在します。上場企業のように会計監査人の監査を受けていれば別ですが、大部分の中小企業は会計監査を受けていません。銀行は決算書の正確性に対する担保を持っていませんから、粉飾決算があったときの用心に、会社以外の返済財源を確保しておく必要性があるのです。会社を個人の節税組織と考えているような社長なら、個人財産も含めて返済財源としなければなりません。逆にいえば、社長が誠心誠意経営を行い、決算書に嘘がなければ、社長個人保証は不要ということになります。銀行は預金者保護の観点から貸出金の回収に全力を尽くすことが求められますが、嘘偽りのない決算書の提出を受け、社長が精一杯事業に励んだ結果として会社が倒産したのであれば、貸倒責任を自分で被ることに異存はないはずです。

社長個人が会社の責任から切り離されれば、会社が果敢にリスクに挑戦することができるようになりますし、有能な社長の起業への再挑戦も容易になります。そうしたビジネス環境を整備することがこれからの日本において望ましいものであることは言うまでもありません。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

税務トピックス 2017月06月20日

タワマン高層階は固定資産税増税

平成29年度税制改正の関連法が3月末に成立したことを受け、4月以降に購入したタワーマンション物件の固定資産税が見直されています。取得価格によっては年間の税負担が10万円以上変わることもあり得るので、しっかり内容を把握しておきたいところです。

固定資産税が見直されたのは、①今年4月1日以降に売買契約を締結する新築物件、②マンションの高さが60メートルを超え、建築基準法上の「超高層建築物」に該当する物件――の両方に当てはまるタワーマンションです。

これまでは階数にかかわらず、建物全体の固定資産税額を区分所有の面積に応じて按分していましたが、新たな計算方法では建物全体の税額は据え置いて、1階上がるごとに税負担が0.26%上がるように按分していきます。ちょうど中間に当たる階では税負担はこれまでと変わらず、それより低層階では減税に、高層階では増税されることになります。仮に50階建てのマンションで部屋の面積が同じであれば、40階なら税額は1階より約10%、50階なら約13%高くなる計算です。

ポイントは、すでに住んでいる人には影響がないという点と、4月以降に契約する物件でも中古マンションであれば対象にならないという点。タワーマンションの高層階の購入を考えていて、固定資産税が気になるという人は、買うのが中古物件であれば負担増を免れることができます。
<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2017月06月20日

管理会計のススメ 機会損失・購入単価引下げvs在庫

◆自分の責務に忠実なこと≠会社全体の利益
自分の担当する業務にとってプラスとなることをしても、それが必ずしも、会社全体の利益につながるわけではありません。
(1)機会損失を恐れすぎると…
「買いたいというお客さんが現れた時にすぐに売れるような体制でいたい」という営業マンの気持ちもわかります。しかしながら、営業マンが機会損失(=売れるのに商品がなくて販売を逃すこと)を恐れる気持ちが強くなり、あれもこれもと品揃えをしたくなると、結果として会社の在庫を増やしてしまいます。
(2)大量仕入れで単価を圧縮できた結果…
仕入れの担当者は、いかによいものを安く調達するかに心をくだきます。大量に仕入れをすれば、1個当たりの仕入れの価格は小さくなります。しかしながら、コスト削減に力を注ぐあまり、往々にして、売れ残ってしまう在庫を増やしてしまう事態を引き起こしかねません。

◆なぜ「在庫=罪庫」といわれるのか?
ものを買うと代金を支払わなければなりません。お金は先払いですが、売れるまでお金は入ってきません。仕入れの代金を借入金で支払っている場合には、その借入の利息も発生します。在庫が増えれば、倉庫代や在庫の管理費もかさみます。すなわち、在庫には「仕入れ代金の先払い+借入金利息+倉庫代+在庫管理費」がかかるのです。これが“在庫は罪庫”といわれる所以です。

◆会社全体を見渡すのが社長の仕事です
社員は、それぞれ自分の担当する業務で成果を上げることが会社の利益につながると思い、懸命に頑張ります。しかしながら、それぞれの担当が良かれと思って行っていることが、会社全体にとってはマイナス方向に働く場合もあります。
会社全体を見渡し、適宜軌道修正をして、会社全体としてプラス方向に働くよう導くのが社長の仕事です。

◆会計数字を生かす
過剰在庫は悪と言われても必要な在庫は持っていなければなりません。適正在庫はどのように求めればよいのでしょうか?
たとえば、在庫には在庫回転期間というものがあります。適正水準は、業界ごとに違います。同業種・同規模の他社の数字が参考となります。また、自社の過去の数字との比較も役立ちます。

税務トピックス 2017月06月13日

未支給年金の判決と国税庁の整理

遺族の方に支給される遺族年金は、所得税も相続税も課税されません。ただし、相続後に支給を受けるものであっても、その死亡した人に支給されるべき年金給付のうち未だ支給されていなかったもの(未支給年金)があるときには、未払いの給与などと同じように、相続財産になるのではないか、と考えてしまいそうです。

ところが、未支給年金については、「国民年金」についての最高裁の確定判決があり、未支給年金請求権について、最高裁はその相続性を否定しています。
国民年金法は、未支給年金を請求できる者の範囲及び順位について、民法の相続人とは異なる定め方をしています。
一定の遺族が「自己の名」で未支給年金の支給を請求することができるとした国民年金法は、遺族の生活保障を目的とした立場から未支給年金の支給を認めたものと解されています。

従って、年金受給権者の遺族で一定の要件に該当する人は、その人の名前で当該未支給年金の支給を請求することができます。
遺族の固有の権利に基づいて支払いを受けるものには、保険金や退職金などもあります。しかし、保険金や退職金と異なり、未支給年金には、相続財産とみなす規定もないので、相続財産ではなく、その遺族の一時所得の収入金額に該当します。

これを踏まえ、いろんな未支給年金の課税関係について見てみると、厚生年金法は国民年金法とほぼ同様の規定ぶりになっているので、先の未支給国民年金と課税関係も同様とすべきとなりそうです。
他方、「共済年金」では、請求権者の範囲及び順位について、民法の相続人とは異なる定め方をしているという点では同じですが、「遺族」がいないときは死亡した者の「相続人」に支給すると、いう規定も置いています。そうすると、死亡した者の「相続人」が支給を受けた場合には相続税の課税対象になるとも考えられそうです。

ところが、この場合も支給を受けた者の「一時所得」になると、国税庁ホームページでは整理しています。

税務トピックス 2017月06月13日

事業と非事業の判定

◆事業的規模の不動産所得
不動産貸付けでの事業的規模の判定には、5棟10室基準があります。不動産所得は、その不動産貸付けが事業的規模かどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なります。この基準を満たすと地方税の事業税の対象になるとともに、所得税では、賃貸用固定資産の取壊し除却などの資産損失、賃貸料等の回収不能による貸倒損失、事業専従者給与(事業専従者控除)、65万円の青色申告特別控除などの必要経費算入が認められます。
5棟10室基準は形式的な基準なので、所得税では、実質的に事業と認められる実態があるか否かの社会通念上の判断に適えばよい、とされているので、形式基準未満でも事業的規模とする余地があります。

◆不動産所得以外での事業的規模
他方不動産所得でない場合は、事業による所得は事業所得、業務(事業的規模以外)による所得は雑所得と分類されており、この事業所得か雑所得かによって、事業専従者給与(事業専従者控除)や青色申告特別控除などの必要経費算入、赤字の損益通算、損益通算後の青色欠損金の3年間繰越などの適用の有無が生じます。
事業所得か雑所得かの判定は、サラリーマンの副業での赤字の損益通算の場面で是非を問われることが多そうですが、サラリーマンの副業も、退職して給与所得者でなくなり、年金生活者になってからも引き続き営むものについては、最早副業ではないので、判定のハードルは低くなります。

◆年金所得者の事業所得
損益通算に関しては、年金所得との通算は雑所得内でも出来ることなので、事業所得か雑所得かの区別に意味はありませんが、特に事業的規模に至らない不動産所得がある人の場合は、事業所得が赤字でも不動産所得から65万円の青色申告控除が出来るので、相変わらず大きな意味があります。
日経新聞に、「働いて年金満額もらう法」という見出しで、定年延長や再雇用ではなく、従来の勤務先と個人事業主として業務委託契約を結べば年金減額の在職老齢年金制度の適用を免れられる、とありました。この場合には、消費税をどうするというテーマにもなります。事業をめぐる判定のみならず、各人の処世にも関わる選択肢です。

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