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税務トピックス 2016月12月6日

相続税額の2割加算と養子

◆指摘の多いのが2割加算
相続税の基礎控除引き下げにより、課税対象者が大幅に増加し、国税庁では申告書の内容に誤りがあると疑われる場合に、納税者に文書を送付し申告書の見直しを促していますが、特に指摘の多いのが「相続税額の2割加算」のようです。

◆相続税額の2割加算
「相続税額の2割加算」とは、相続又は遺贈により財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族及び配偶者、以外の者である場合に、相続税額を2割加算するとするものです。
一親等の血族とは父母や子を指します。このため、それ以外の者、すなわち、被相続人の兄弟姉妹が相続等で財産を取得した場合や、血縁関係がない者などに遺贈があった場合等に2割加算があるということになります。
また、孫も2割加算の対象ですが、被相続人の子が相続開始以前に死亡するなどし、代襲相続人となっている場合には2割加算は不要です。

◆一親等の法定血族でも孫養子は
一親等の血族には「養子」も含まれますが、例外があり、被相続人の直系卑属で被相続人の養子になっている者、つまり“孫養子”は2割加算対象外に含まれません(代襲相続人は除く)。
「養子」に2割加算はないが、“孫養子”に限っては2割加算があるというこの取扱いのところに間違いが多いようです。

◆孫養子類似の一親等の法定血族だが
国税庁の質疑応答事例に「被相続人の直系卑属でない者が養子となっている場合」の事例があり、ここでは「子の配偶者」が養子となっている場合に2割加算がないことを示しています。
すなわち、“孫養子”以外の「養子」は一親等の血族に含まれるため、例えば、「孫の配偶者」や「養子の養子縁組前の子(養子の連れ子)」が養子となっていても2割加算は不要です。

◆代襲相続でも2割加算される例
国税庁の質疑応答事例には、代襲相続した孫やひ孫で、遺贈があるので代襲相続人の地位を放棄した場合、この相続放棄者には2割加算除外の適用がない、という珍事例も紹介しています。(代襲相続の規定では放棄をなかったものとするとしていない。)

税務トピックス 2016月11月28日

百億円でも配偶者だけなら無税

◆配偶者の税額軽減
相続税では配偶者に対する税額軽減措置があります。被相続人の配偶者が取得した相続財産の課税価格が1億6千万円以下、又は配偶者の法定相続分相当額以下である場合には、配偶者に相続税はかかりません。
もし、相続人が配偶者のみの場合はどうなるのでしょうか。相続人が配偶者のみの場合には、配偶者の法定相続分は100%です。そうすると、相続財産が100億円とか1兆円とかの場合にも、税負担額はゼロということになります。

◆相続人が配偶者のみという状態
相続人が配偶者のみという状態は、親や子や孫、そして兄弟姉妹や甥姪もいない被相続人だったという場合だけでなく、他の相続人が相続放棄をした、又は他の相続人が相続欠格・相続廃除になった、という場合にも起き得ることです。

◆相続放棄の結果の配偶者単独相続
相続放棄者は、遡及的に相続人でなかったものと扱われ、その子供たちの代襲する権利もないものとされます。しかし、これは民法の扱いで、相続税法では、相続放棄は原則としてなかったものとして取り扱われます。従って、相続放棄があったことの結果としての配偶者の単独相続では、配偶者の法定相続分は100%にはなりません。

◆相続欠格・相続廃除とは
相続欠格・相続廃除も、相続人資格喪失事由です。相続欠格には、被相続人または競合相続人を死亡させようとしたり、被相続人に遺言書の作成や変更を詐欺や強迫によって強制したり、妨害したり、作成済み遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿をした場合が該当します。
相続廃除には、被相続人に対する虐待・侮辱及び本人の著しい非行を原因とする家庭裁判所の廃除審判が必要です。生前の廃除申立と遺言による廃除申立があります。

◆相続欠格・相続廃除は民法どおり
なお、相続欠格・相続廃除の場合には、欠格・廃除とされた者の子供たちの代襲相続権は消滅しません。相続欠格・相続廃除の結果は逆に、法定相続人が増えることになる場合があります。
相続欠格・相続廃除の結果として配偶者の単独相続が生じた場合には、相続税法に別段の規定がないので、民法通りとなり、配偶者の法定相続分は100%です。この場合には、税負担額はゼロということになります。

税務トピックス 2016月11月28日

「生計を一にする」の定義

◆「生計を一にする」の解釈
「生計を一にする」という用語は、多くの税法で用いられています。ただし、税法そのもので、その定義はされていません。解釈通達での定義で済ませています。

◆法人税法では
法人税法では政令の同族関係者の範囲の規定で「生計を一にする」という用語が出てきます。法人税基本通達は、「生計を一にする」こととは、「有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいうのであるから、必ずしも同居していることを必要としない」とし、要約的に表現しています。

◆国税通則法・国税徴収法では
国税通則法基本通達では、「生計を一にする」とは、「納税者と有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいい、納税者がその親族と起居をともにしていない場合においても、常に生活費、学資金、療養費等を支出して扶養しているときが含まれる。なお、同一家屋に起居していても、互いに独立し、日常生活の資を共通にしていない親族は、生計を一にするものではない。」と定めています。
国税徴収法基本通達は、前半が同文で、「なお」以下部分は、「なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。」と逆の側面からの規定になっています。

◆関係の多い所得税法では
所得税法では、専従者関係の規定、雑損控除・医療費控除・各種保険料控除・人的控除などの所得控除の規定、その他多くの規定で「生計を一にする親族」の判定が係ってきます。
しかし、所得税基本通達での概念規定は、法人税、通則法、徴収法の各通達と異なり、「有無相助けて日常生活の資を共通にしていること」の概念の内包部分がありません。
外延としての「なお」以下部分は、「同一の家屋に起居していること」のほか、別居であっても「同一の家屋」が起居のために帰るべき場所であったり、別居先に「常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合」も含まれる、としています。

税務トピックス 2016月11月21日

三世代同居リフォームの減税制度 住宅ローン控除と特別控除の2制度創設

◆三世代同居リフォームに減税制度創設!
平成28年4月より「住宅の多世代同居改修工事に係る特例」制度がはじまりました。
この制度は、子育て支援・介護支援の一環として、三世代同居のために住宅のリフォームを行おうと考えている方を後押しする目的で設けられた減税制度です。
平成25年に内閣府が行った意識調査によれば、「祖父母の育児や家事の手助けが望ましいか」という問いに対して、実に78.7%が「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えています。三世代同居を「理想の家族の住まい方」と答えた方も、20.6%いらっしゃったようです。
ただ、現実には、総世帯に占める三世代同居世帯の割合は昭和61年の15.3%から平成25年には6.6%と減少しています(厚労省・国民生活基礎調査)。
このような状況の中、世代間の助け合いによる子育てしやすい環境整備を図るため、税制上の特例措置が講じられました。

◆住宅ローンの有無で2つの制度
実際に「三世代で住もう」とした場合には、住環境の整備が必要です。この場合、キッチン、トイレ、浴槽等の水廻りを増設することが一般的であり、概ね250万円がかかると国土交通省では試算しています。
そこで、「特定増改築等に係る住宅借入金等特別控除」と「既存住宅の特定改修の場合の特別控除」に追加する形で2つの減税制度が設けられました(選択適用)。
①住宅ローンあり(借入期間5年以上)
住宅ローン年末残高×控除率
〔控除率〕
増改築工事全体(1千万まで)…1.0%
うち三世代同居改修工事(250万まで)…2.0%
この制度では、年間で最大125,000円(250万円×2%+750万円×1%)の控除を5年間受けることができます。

②住宅ローンなし
標準的な工事費用(単位当たりの標準費用×改修箇所)×10%(最大25万円)

◆対象となる三世代同居改修工事
どちらも対象となる三世代同居改修工事は、①調理室、②浴室、③便所、④玄関のいずれかを増設し、改修後は①~④のいずれから2つ以上が複数になるものになります(補助金控除後の工事費用・標準的な工事費用が50万円超のものに限ります)。

コラム 2016月11月21日

退職金は何のためにあるのか

◆適年廃止後の退職金制度はどうなってる?
長期勤務に対する報奨と理解されている退職金制度ですが、中小企業の多くが利用してきた税制適格年金制度(適年)の廃止から4年半、この制度を導入していた企業は「中小企業退職金共済制度」(中退共)へ移行した企業が一番多かったようです。
また、平成26年度の法改正でそこから5年で多くの厚生年金基金は解散してゆくことになっています。厚生年金基金を退職金の一部にしている企業ではこの対策も考える必要があります。

◆退職金制度のメリット・デメリット
退職金は企業と従業員の労働契約により支払われる賃金制度の一部です。そうならば給与や賞与で払えば退職金は支払わない選択もあるでしょう。その分給与水準を高くし、月々の給与に退職金額を上乗せした前払い退職金制度にしているところもあります。但し社会保険料が上がり毎月の給与額も時間と共に当然と感じてしまい、給与を高くした意味が薄れることもあり得ます。
厚労省の調査によると、従業員30人以上の企業では7割5分が退職金制度を導入しているそうです。
導入のメリットとしては、良い人材の確保のしやすさ、長期的勤務推進策、定年や早期退職の円滑化策、不況期の雇用調整、従業員の不法行為の制御、退職者の競業避止義務や守秘義務の対価として等があります。従業員側は退職後の必要費用を賄う、企業への満足度の高まり、入社時の決定理由、長期勤務がメリット、税制上の優遇措置等があります。
一方デメリットとしては経営状態にかかわらず一時的に多額の支払いが生じる場合があるので、決算や資金繰りに悪影響を与えることがあります。また、運用悪化等があれば積立額のチェックも必要になります。

◆退職金の資金準備
複数の退職者が一度に発生すると企業にとって退職金の負担は大きくなり、多額の現金が必要になることは資金繰りを悪化させるおそれもあります。予め手当てしておくことは大切です。どこに資金をプールするかと言うと、先の調査では社内準備約6割強、中退共約4割、特退共やその他が少しあります。社内準備は銀行と生命保険の利用があります。

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