お知らせ/トピックスTOPICS

税務トピックス 2023月05月16日

役員報酬裁判 地裁が棄却

 役員報酬が同業他社よりも高額になっているとの理由で報酬の経費計上を認めなかった国税当局に対し、京都市の食品会社が処分の取り消しを求めて争っている裁判で、東京地裁は原告の請求を棄却し、国税当局の処分は妥当とする判決を下しました。原告側は結果を「不当な判決」と判断し、控訴するとしています。

 裁判では、京都市の食品会社が役員2人に対し支払った4年間の役員報酬約21億5100万円のうち、約18億4千万円が「不相当に高額」になっているとして国税当局が損金算入を認めなかった処分の妥当性が問われました。同社への追徴課税は約3億8500万円に上ります。同社は「海外の販路開拓や利益率の改善といった役員の働きに見合った適正な報酬だった」と主張していました。

 裁判で焦点となったのは、同業者と役員報酬額を比較することの妥当性。同社の社長は最終弁論で「当社は倉庫や在庫管理システムを持たず製造を外注する『加工食品のファブレス事業者』。しかし国税当局のなかにこのような業種の分類がなく、『卸売業』に分類されてしまっている」と主張していました。卸売業は薄利多売で利益率は低くなりがちな一方、ファブレス事業者は自社設備を持たないことから利益率が高い傾向にあります。

 この点につき、裁判長は判決で、「反復継続的に仕入れ・販売することによって売上総利益が生じていることからすると、原告の主たる事業は(中略)『卸売業』に該当する」と認定。原告側は、「卸売業の機能である調達機能、販売機能、物流・保管機能、金融・危機負担機能、情報提供・サポート機能のいずれも有していない」と主張していましたが、これに対しては「金融・危機負担機能については不明」としつつ、他は「機能を有していた」と退けています。

 また問題となった役員が関与していたベトナムでの海外事業については、収益は生じていないことを重視しました。役員の赴任が具体化せず、ベトナム新規事業再開のめどが立っていない状況において高額な給与の支給を続けるということは「企業の意思決定としておよそ合理的なものとはいい難い」と断じています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月05月9日

遺産21億円超が宙ぶらりん

 亡くなった人の財産のうち、誰にも相続されずに自治体が保管している遺留金が21億円を超えていることが分かりました。自治体が相続人を探す調査にかかる費用などが膨らんでいるとして、総務省が厚生労働省と法務省に状況改善を勧告しました。

 身元不明の死者や、連絡がとれる親族がいない人が死亡して残した現金や預貯金は、「遺留金」と呼ばれます。「行旅病人および行旅死亡人取扱法」により、そうした遺留金は自治体が保管、清算することが定められていて、最終的に行き先が見つからなければ国庫に納められるものの、それまでに行われる相続人を探す調査などは自治体が行うこととなります。単身世帯が増えて家族のつながりが希薄になるなか、独りで亡くなる人の数は今後も増加が見込まれ、厚生労働省と法務省は2021年、遺留金の処理方法を示した自治体向け手引を作成したばかりです。

 総務省は今回、21年12月~22年3月にかけて全自治体を対象に調査を実施。身寄りのない人の死亡は18年4月~21年10月までの3年半で約10万6千件あり、うち46%で現金や預貯金が「遺留金」となりました。自治体の保管額は計約21億5千万円でした。

 今回の調査では、死亡届が親族から提出されず相続人の調査に必要な戸籍謄本の交付を請求できないケースや、亡くなった人の葬祭費に充てるために自治体が本人の口座から預金を引き出そうとしても金融機関が応じないケースも確認されました。身寄りのない人の葬祭は自治体が実施し、費用は遺留金で賄うのが原則ですが、預貯金を引き出そうとした際に金融機関から「相続人以外は引き出せない」などと断られるケースが多数あったそうです。実際は関連法で引き出しが認められているため、制度の周知が進んでいないとみられます。

 総務省は、遺留金の取り扱いについて指針を出している厚生労働省と法務省に対し、戸籍謄本の交付の請求や預金の引き出しについては必要な場合には自治体が対応できる法的根拠があることを指針で示し、関係機関に周知するなど改善を行うよう勧告しました。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月05月9日

《コラム》相続税申告前に相続人が死亡した場合

 短期間に相続が相次ぎ発生することがあります。父、母、子2人の4人の親族関係で母が4月1日に死亡、父と子2人が相続人となりましたが、相続税の申告前に父も続けて8月1日に死亡した場合の申告は、どうなるでしょうか?

◆申告義務は相続人に承継される
 一次相続(母)の相続税申告義務は、父と子2人にありますが、父がその後、死亡したため、父の申告義務は相続人(子2人)が承継します。子2人は、一次相続(母)の相続人として相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年2月1日が申告期限となり、父から承継した一次相続(母)の申告期限は、父の相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年6月1日となります。
 なお、二次相続(父)の申告期限は、父の相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年6月1日となります。

◆一次相続の遺産分割協議書の記載
 子2人は父の権利義務を承継します。一次相続(母)の遺産分割協議書には、一次相続の被相続人(母)、二次相続の被相続人(父)の最後の本籍、最後の住所、出生日、死亡日、氏名と、相続人兼父相続人として子2人の本籍、住所、出生日、氏名が記載されます。  
 子2人は、母の遺産分割協議に参加し、父と子2人がそれぞれ、母から相続する財産、債務について遺産分割協議書を作成します。また、父が一次相続で母の財産・債務をどのように承継するかは、父の生前の希望も尊重しつつ、二次相続の承継による税負担と併せて検討することになります。

◆法定相続情報は被相続人ごとに作成
 一次相続(母)の相続税申告書には、一次相続(母)の法定相続情報一覧図(相続人は、父と子2人)と二次相続(父)の法定相続情報一覧図(相続人は、子2人)を、それぞれ別々に作成し、添付する必要があります。
 これは、法定相続情報一覧図は、被相続人が死亡した時点で誰が法定相続人であるかを示すものだからです。
 したがって一次相続(母)の法定相続情報一覧図には、被相続人は母、相続人は父と子2人の情報を記載し、二次相続(父)の法定相続情報一覧図には、被相続人は父、相続人は子2人の情報を記載します。先に死亡した母を「亡妻」と記載することもあります。2つの法定相続情報一覧図を重ねることにより、一次相続の申告は二次相続を経て子2人に承継されることが示され、遺産分割協議書の記載と整合します。

コラム 2023月05月2日

《コラム》固定資産税のしくみ

◆土地・家屋・償却資産にかかる税
 固定資産税は、その名の通り固定資産にかかる税です。日本には明治時代から地租(土地に対する税)や家屋税(住宅にかかる税)がありましたが、戦後1950年に、シャウプ勧告に基づく地方税制改正の一環として、地租や家屋税を統廃合し、原則市町村税として創設されました。
 2020年度のデータですが、固定資産の納税義務者(法人・個人合計)は、土地が4,138万人、家屋が4,214万人、償却資産が472万人とのことです。市町村税に占める固定資産税の割合は約4割と、市町村の運営に欠かせない財源となっています。

◆固定資産の評価方法
 土地や家屋についての固定資産税は登記をすると自動的に税額が計算され、納税通知書が送られてくるため申告不要です。償却資産については、申告が必要となります。
・各固定資産の評価方法は、
土地:宅地や農地等、地目別に売買実例価額等を基礎として、評価額を計算。宅地については公示価格等の7割を目途に評価額を計算
家屋:再建築価格(その時点で新築する場合に必要となる建築費)に経年減点補正率等を乗じて評価額を計算
償却資産:取得価額を基礎として、経年減価を考慮して評価額を計算
となっています。土地・家屋の評価については3年に1度見直しを行います。また、評価額は縦覧期間に確認ができ、疑問がある場合は再審査の申し出ができるようになっています。
 評価額を基に課税標準額が決定されます。ただし、納税者の負担感に配慮し、評価額が急激に上昇した場合でも税負担をゆるやかに上昇させる負担調整措置が講じられています。

◆税の計算と特例
 標準課税額が土地30万円未満、家屋20万円未満、償却資産150万円未満であれば課税されません。また、標準税率は1.4%です。標準課税額の決定や税額については政策的な特例措置があり、特に課税される対象が土地や家屋、建造物等の償却資産ということもあり、特例措置も様々です。
 多様な特例があるため、その特例を延長するにあたり、税制改正大綱では長々とその情報が書き連ねてあります。令和5年度税制改正大綱には「固定資産」というワードが70回以上登場しています。

税務トピックス 2023月05月2日

京都市が全国初の空き家税

 総務省は3月下旬、京都市と協議を進めていた「空き家税」の新設に同意しました。空き家や別荘など、普段人が住んでいない住宅に課税する制度で、同市は2026年度にも導入すると同日発表しています。景観保全のため建物の高さ規制を設けている同市では住宅の供給不足が課題となっていて、新税導入で空き家の売却や賃貸利用を促進する狙い。市によると、空き家の活用を促す新税は全国初とのことです。

 課税対象となるのは、市街化区域内にある固定資産評価額が20万円以上(条例施行後5年間は100万円以上)で、人が住んでいない戸建て住宅やマンション。京町家など歴史的価値のある建物は除きます。また、入院や海外赴任など所有者の事情で居住していない住宅は減免対象。現地調査も行い居住実態を確認します。

 対象物件は市全域で約1万5千件に上るとみられ、税収は年間約9億5千万円を見込みます。市の試算では、いずれも100平方メートルの住宅の場合、市中心部に立地する築5年の高層マンション最上階で年約94万円、ニュータウンにある築40年の戸建て住宅で年約3万円が、固定資産税とは別に課税されます。子育て世帯を呼び込む目的もあるといい、京都市長は「地域を活性化し、住みたい人が住める、若い人が暮らせる街にしていく」と述べました。

 空き家に対する課税を巡っては、国土交通省は放置が続いて周囲に悪影響を及ぼす可能性が高い空き家に対して固定資産税の軽減措置を見直す方針を決めています。

<情報提供:エヌピー通信社>

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