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その他 2023月12月26日

【時事解説】銀行が取るリスクとリターン その1

 ビジネス上のほとんどの収益(リターン)はリスクを取る対価として発生します。銀行の本業である貸出収益に対するリスクは、大きくクレジットリスクと期間リスクとに分解することができます。

 クレジットリスクとは貸出先の個別の信用状態に起因する貸し倒れに対するリスクです。100%安全な貸出先というのはありません。どんな貸出先にも、大なり小なり破綻するリスクが存在します。その対価として金利を受け取ります。したがって、信用度が高い貸出先の融資は金利が低く、信用度が低いと金利は高くなります。

 信用度に応じて金利が変わるということは、銀行が資金を調達する場合にもあてはまります。現在、銀行が預金者から預かる金利には大きな差はありませんが、銀行が市場から資金を調達する場合は、信用度が高い銀行ほど低い金利で資金を集められます。

 もし、銀行が預金ではなく、すべて市場から資金を調達して、その資金を原資に貸出を行うとしましょう。市場では銀行も一般企業も同様に信用による格付けが行われ、金利は段階的に差がついています。そのため、銀行が貸出により利ザヤを確保するためには、自らが市場で調達した金利より、高い金利を付けることができる信用力が劣る企業に貸出を行わなければなりません。つまり、銀行が自分より使用力の高い企業、例えばトヨタ、あるいは国にカネを貸しても逆ザヤになるだけで、儲かるわけはないのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

コラム 2023月12月19日

《コラム》介護離職増加 仕事と介護の両立には

◆介護離職者は年間10万人超
 厚生労働省の雇用動向調査によると2022年の介護を理由とした離職者は106,000人、そのうち男性は26,000人、女性は80,000人、女性が多いのは夫婦で収入の少ない女性が介護を担うケースが多いからと思われます。年齢別では男女とも55歳~59歳が最も高い層です。一方、働きながら介護をする人は365万人、10年間で70万人増加、働く人の5%に達しています。仕事と両立しながら介護する男性は55歳~59歳が最も多く87.8%、女性では40歳~49歳が68.2%と最も多い層です。

◆介護休業とは
 原則として育児介護休業法に基づき「要介護状態」の家族を介護する会社員は「介護休業」を取得することができます。
 要介護状態とは負傷、疾病などにより2週間以上常時介護を必要とする状態を言います。対象は配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
 休業できる期間は対象家族1名につき要介護に至るごと3回、通算93日まで利用できます。休業予定日を会社に申し出る必要があります。
 また介護休業取得の期間、無給であれば雇用保険被保険者は「介護休業給付」が休業開始前の給与水準の67%支給されます。

◆制度の利用者は少ない
 介護離職を防ぐため国が設けたのが「介護休業」制度です。しかし介護休業制度利用者は厚労省の調査でも数パーセントということです。なぜ利用が進まないか、介護をしながら働く人に理由を尋ねると最も多かった回答は「勤務先に制度が整備されていない」というもので37%ありました。
 介護休業は国で定めた制度なので権利がないということはなく、要件を満たせば取得できるものです。周知不足による制度を知らないという回答も3割はいるそうです。一方には会社としてあまり浸透してほしくない気持ちもあるかもしれません。
 中小企業では両立支援助成金の介護離職防止支援コースが申請できます。介護休業を取った時、代替要員を雇用した時、所定外の労働時間制限や、時差出勤、短時間勤務制度などプランに基づいて行われた時は助成金が受給できます。制度利用させるときは助成金を利用してみてはどうでしょう。

税務トピックス 2023月12月19日

ゼロゼロ融資で1兆円が回収不能か

 新型コロナウイルスの中小企業支援策として政府系金融機関が実施した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの状況を会計検査院が調べた結果、約1兆円を回収の見込めない債権として処理していることが分かりました。ゼロゼロ融資で焦げ付きの状況が判明したのは初めて。ゼロゼロ融資の返済負担は中小企業の資金繰りを圧迫していて、今後さらに未回収額は膨れ上がる可能性も否定できません。

 ゼロゼロ融資の実施から3年が経過し、貸付金の返済が本格化していることなどから、検査院が2020年3月以降の日本政策金融公庫(日本公庫)と商工組合中央金庫(商工中金)によるコロナ関連の貸し付けについて調べました。コロナ関連融資は総額約19兆円で、ゼロゼロ融資が大半を占めます。

 検査院の調査によれば、20年から22年度末までに貸し付けられた約118万件、計19兆4365億円のうち、22年度末時点で約19万件、計3兆3305億円が完済されていました。一方で7291件、計697億円分は回収不能とのことです。理由のほとんどが借り手の破産や生活困窮。さらに税法上確定ではないものの、回収不能が見込まれるとする会計処理がなされていた債権が計1246億円、借り手が経営破綻して回収の見込みがほぼないといったリスク管理債権(不良債権)が計8785億円ありました。完済分についても、別の特例制度を利用した借り換えによる返済が相当数含まれているとみられます。

 ゼロゼロ融資は、コロナ禍で急減な業績悪化に見舞われた中小・零細企業の資金繰り支援策として実施され、倒産抑制に効果をみせました。しかし副作用として過剰債務に陥った企業は多いのが実状です。ゼロゼロ融資を受けたにもかかわらず倒産した企業はすでに1千件を超えています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月12月12日

宝くじ当選金 共同購入で無税

 年末ジャンボ宝くじが12月22日まで販売されています。今回は1等7億円が23本、前後賞合わせると10億円。抽選は12月31日に東京オペラシティで行われます。1等の当選確率は約2000万分の1で、パーセントにすると0.000005%という極めて低い確率ですが、それでも10億万長者という夢をみて、今年も多くの人が購入売り場に列を作っています。

 宝くじを買う際には、「当たったら半分あげるよ」と冗談まじりに言うことがありますが、本当に当たって約束通りに半分を与えることになったときは、税務上は大変なことになります。宝くじに税金がかからないのはよく知られるところであるものの、当選後の贈与となればそうはいかないためです。

 10億円当たって半分の5億円を譲渡すれば、基礎控除110万円を引いた残りの4億9890万円に最高税率の55%を掛け、そこから控除額の400万円を差し引いた約2億7000万円が贈与税として持っていかれることになります。すなわち、約束どおり5億円を分けてもらっても、手元に残るのは2億3000万円だけとなります。

 本当に「当たったら半分あげるよ」を実行するつもりで、当選時に当選金を減らすことなく分けるには、共同購入するべきです。そして、当選金を受け取る際に、分けたい相手と一緒に銀行へ行き、共同で宝くじを購入したことを伝えると、当選金も共同で、それぞれが受け取ることができます。これで贈与税は回避できるというわけです。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月12月12日

年末調整は大変! 今年の変更点

 年末調整を終わらせなければならない期限まで残りわずかとなりました。今年の年末調整では、住宅ローン控除や海外親族の扶養控除、配偶者の退職金に関する記載欄の新設など、小粒ながら多くの人に関わる見直しが講じられています。

 今年の年末調整から変わったこととして、配偶者・扶養親族が受け取った退職手当等を記載する「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」という欄が新設されたことがまず挙げられます。所得税の計算では、合計所得金額に退職所得を含む一方、住民税では退職所得は含まれません。そうなると例えば今年に退職した配偶者がいる場合、所得税では所得上限に引っかかって配偶者控除を受けられないものの、住民税では控除を受けられることがあり得ます。これまでの書式では扶養親族の退職手当を把握できず、住民税の控除漏れが散見していたとして新たな記入欄が追加されました。

 ふたつめの見直しは、海外に住む扶養親族の控除要件が厳しく制限されたこと。これまでは16歳以上の国外扶養親族が対象となっていましたが、今年からは「30歳以上70歳未満」のいわゆる現役世代が原則として除外されることとなりました。国外親族の生活実態については把握が難しく、ある程度稼いでいた親族でも扶養控除が認められていたとの指摘を踏まえ、見直されたものです。今年からは、留学などの理由で国外にいる親族、障害者、生活費・教育費として年38万円以上の支払を受けている人という3条件のいずれかに当てはまらない限り、現役世代は扶養控除を適用できません。

 みっつめの見直しが、住宅ローン控除の控除率と適用期間の変更。2021~22年度の税制改正で、住宅ローン控除は大きく変わりました。所得上限が引き下げられ、控除期間が一定の要件を満たすことで13年に延長され、控除率も従来の1%から0.7%へと引き下げられています。これらの見直しは昨年から行われていましたが、住宅ローン控除では1年目は確定申告を行い、2年目以降は年末調整で控除手続を行うため、控除率見直しの影響を受ける年末調整は今年からということになります。

<情報提供:エヌピー通信社>

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