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税務トピックス 2023月08月15日

タワマン節税で当局が新ルール提示

 富裕層の相続税対策として活用されてきた「タワマン節税」について、国税庁はタワマンの相続税評価額を実勢価格の最低6割に引き上げる新たな計算ルールをこのほど提示しました。マンションの高層階ほど相続税が増える可能性があり、富裕層の節税策に大きな影響を与えそうです。新ルールは来年1月の適用スタートを目指します。

 国税庁が提示した新たなルールは、マンションの階数や築年数などを基に評価額を補正して引き上げるというもの。築年数や所在階、総階数、専有面積などを基に「一室の評価かい離率」を算出し、これに現行の相続税評価額や最低評価水準である「6割」を掛け合わせて最終的な評価額を割り出します。6割の基準は、一戸建て物件の実勢価格と評価額の平均かい離率(1.66倍)に合わせて設定したそうです。

 新ルールによっておおむね、実勢価格と評価額が大きく離れていた物件では、実勢価格の6割程度まで評価額が上がります。かい離率の高かった高層階ほど、これまでに比べて税負担が増えることとなります。

 マンションは階数が変わったとしても住戸面積が同じなら相続税を算出する際の評価額が変わらないため、これまでは同じマンションのなかでも1階住戸の実勢価格が5千万円、同じ広さの30階の住戸が1億円で、相続税評価額はいずれも2千万円とすると、実勢価格に対する評価額の割合は1階住戸なら40%、30階住戸なら20%という差が生まれていました。これを利用し、相続を見込んでタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた直後に高額で売却するという「タワマン節税」が流行していました。

 こうした問題を受け、2023年度税制改正大綱では「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と記載し、今年1月からは国税庁の有識者会議が新ルールを検討していました。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月08月8日

リモート税務調査 3万4千社に拡大

 国税庁はこのほど、オンラインで行う「リモート税務調査」の対象を拡大することを決めました。これまでは約500社の大企業に限定して試験的に取り組んできましたが、企業の要望や調査の効率化などの観点から、その対象を約3万4千社に広げます。

 国税庁は昨年10月から新たな取り組みとして、全国の国税局調査部の特別国税調査官が所管する資本金40億円以上の大企業、いわゆる「特官所掌法人」の約500社のみを対象としてリモート調査を行ってきました。今後は調査対象を資本金1億円以上の企業、いわゆる「調査課所管法人」まで広げる方針。調査課所管法人は全国に約3万4千社で、大幅な対象拡大となります。

 リモート調査の特徴は、当局が用意したシステムを利用して調査の全てがオンラインで完結することです。調査資料のやり取りもすべてオンライン上で行われ、当局が指定したオンラインストレージサービスに帳簿等の調査資料をデータのままアップロードすれば調査官と対面する必要はありません。また調査の全部ではなく一部のみをオンライン対応とすることも可能で、例えば資料はオンラインで提出し、聞き取り調査などは直接対面して行うということも認められます。

 リモート調査では、企業は貸出用の機材を用意する必要がなく、長時間にわたって調査官と直接対面しなくてよいという点で心理的にも余裕が出てくるなどのメリットがあります。コロナ禍で行われた一部リモート調査でも企業側からは歓迎する声が多かったので、「非実地調査」化は納税者にとってよい面が多くあるようです。

 ただ気をつけておくべき点も当然あって、リモート調査か実地調査かを選ぶのは最終的には当局。納税者の要望は聞くものの、必ず聞き入れられるとは限りません。さらにリモート調査になったのに、「調査の必要上、国税当局の判断により、臨場及び直接の対面での調査に切り替える」(国税庁)こともあり、準備が二度手間になってしまう恐れもゼロではないことは留意しておきたいところです。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月08月8日

《コラム》税務行政のDXは順調?令和4年分確定申告状況

◆今年の集計期間は3月末までに
 国税庁は毎年、所得税等・消費税・贈与税の確定申告状況を報道発表しています。今年は久々にコロナウイルス関連での提出延長手続きが通常の申請となった影響で、令和3年分まで3年間、4月末までだった集計対象が3月末までとなっています。
 所得税等の申告人数は前年比+0.4%の2,295万人、申告納税額は3兆6,801億円で、前年比-2.9%とのことです。

◆e-Tax利用はさらに増加
 まず特筆すべきは自宅等からe-Taxで申告した方の数です。その数は税理士による代理送信を含めて1,075万7千人で、前年比+16.6%。国税庁は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」として、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会目指す」としており、成果が着実に表れてきているのではないでしょうか。

◆スマホ申告の台頭
 自宅からスマートフォンを使ってe-Taxで申告した人は249万人で、令和3年と比較すると約1.6倍となっています。令和2年と令和3年の比較でも約1.5倍増加となっており、ここ数年はスマホで確定申告を行う人の増加が加速しています。確定申告作成コーナーにスマホで使いやすいデザインを導入、源泉徴収票はカメラで撮影すれば自動入力、青色申告決算書や収支内訳書がスマホからでも作成可能と、機能面を充実させた結果が出ているものと思われます。

◆申告にはマイナンバーカードが便利
 自宅から納税者本人によりe-Taxで申告書を提出した592万人のうち、マイナンバーカード方式を利用した人は387万人。 マイナポータル連携により控除証明書等を取得した人は132万人で、令和3年から約4倍の増加です。
 マイナポータル連携を行うと、生命保険料等の控除証明書や公的年金等の源泉徴収票、ふるさと納税や医療費等が入力の手間なく申告書作成画面に反映されるため、とても便利です。最近不祥事が報道されることの多いマイナンバーカードですが、確定申告においては、多くの人が便利に使いこなしているように感じられます。

税務トピックス 2023月08月1日

「マルサ」の調査は何が違う?

 国税庁が2022年度の査察調査の実績を公表しました。コロナ禍で調査が減少した前年から告発件数、脱税額ともに大幅に増加して、告発率も74.1%と約15年ぶりの高水準を記録しています。

 「税務調査」という場合は通常、国税通則法74条の2に規定された「質問検査権」の行使を指すことがほとんどです。同条によって調査官は納税者に質問でき、帳簿書類の検査や提出を求めることも可能となっています。しかし、故意に不正な手段を用いて巨額の税を免れる行為に対しては、税額の誤りをただすだけでなく、刑事上の責任を追及して刑罰を科すことも求められます。通常の調査では実態究明が難しいので、より強制的な権限で調査を行い、告発にこぎ着けます。これが査察調査、通称「マルサ」といわれるものです。

 マルサは通常の税務調査では認められていないような、令状を手に脱税犯の家宅などに踏み込み、強制的に帳簿を調べ、必要とあれば金庫を無理やり開けることも許されます。納税者の同意を得ながら行う通常の調査とはまったく異なり、むしろ犯罪捜査に近いのが実態です。

 今でこそ査察調査の法的根拠は、通常調査と同じ国税通則法に規定されていますが、数年前までは国税犯則取締法という独自の法律によって運用されていたことからも、その違いがうかがえるでしょう。コロナ禍となってから急増している調査の対象になることのないように、問題のない税務申告をすることが求められます。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月08月1日

《コラム》職場つみたてNISAと賃上げ税制

◆事前照会に対する文書回答
 国税局は、納税者や同業者団体から個別の取引等に係る税務上の取扱いについての照会に対して、文書による回答をしています。今年3月に金融庁から照会があった事例を国税庁Webサイトで公表をしていますが、内容としては従業員に対して職場つみたてNISAの奨励金を給付した場合、賃上げ促進税制の対象になる「給与等」に該当するか、というものです。国税庁は「その考えで差し支えない」と回答しています。

◆職場つみたてNISAとは?
 職場つみたてNISAは、事業主が証券会社などのNISA取扱い業者と契約して、希望する従業員の給与から毎月天引き、もしくは口座振替をした金額を特定の金融商品に投資していく福利厚生制度の1つです。従業員からすれば職場という身近な場で資産形成ができ、企業にとってはあまり導入コストをかけずに福利厚生制度が導入できるメリットがあります。今時の財形貯蓄、と言っても良いでしょう。

◆賃上げ促進税制とは?
 賃上げ促進税制は、前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。中小企業の場合、雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加(大企業の場合は3%以上増加)で適用ができ、支給額が前年比2.5%(大企業4%)以上、教育訓練費が前年比10%(大企業20%)以上増加している場合は税額控除率が上乗せされます。

◆会計上「福利厚生費」でも給与等
 職場つみたてNISAを導入するにあたって、奨励金を事業主が出す場合、会計上はどのような科目で費用計上するかは限定されていないため、給与以外の例えば福利厚生費として費用計上することもできます。ただし、奨励金の性質から鑑みれば、これは賃上げ促進税制の対象になる「給与等」に該当しますよね? というのが金融庁の照会内容です。国税庁も「その通りです」と答えているため、奨励金も含めて賃上げ促進税制の給与等の増加額を計算して良いということです。なお、給与等に該当するため、支払い額には所得税がかかります。

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