お知らせ/トピックスTOPICS

税務トピックス 2023月03月14日

フリマアプリ収入の確定申告

 一般社団法人シェアリングエコノミー協会がこのほど発表した調査結果によれば、日本における民泊、カーシェア、フリマアプリなどを合わせたシェアリングエコノミーの市場規模は2.6兆円でした。今後市場が順調に伸びていけば、10年後には15兆円市場にまで膨らむそうです。

 好調の一因には、メルカリやヤフーオークションといったネット間CtoC取引の躍進があります。調査結果によれば、市場2.6兆円の5割に当たる1.3兆円がモノのネット売買によるものでした。その背景には、コロナ禍で巣ごもりする間に家財の整理や処分などを行う人が増えたこと、スマートフォンを見る時間が増えたことなどがあるとみられます。

 原則として、使わなくなった家具や衣服などの「生活に使用した資産」をメルカリなどで売って利益を得たとしても、確定申告は不要です。金額要件も特に設けられておらず、自分が生活に使っていたものであれば、いくら儲けが出ても申告する必要はありません。

 ただし生活に使う資産の処分でも、長期間にわたり継続的・反復的に行われていて利益を得ることが主目的となっていれば、課税所得として申告が必要です。同様に、他者から仕入れて転売した時の所得は課税所得となるほか、1品が30万円を超える宝石、書画、骨董、貴金属などを売った時の収益も所得税対象となることを覚えておきたいところです。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月03月14日

タワマン節税が抜本的規制へ

 相続税評価額と実勢価格のかい離を利用した「タワマン節税」の規制に向けて、国税庁が1月30日に第1回となる有識者会議を開催し、議論をスタートさせました。タワマン節税を巡っては、税負担を著しく軽減させる事例に限って通達で認められた「総則6項」を用いて後出しで否認するという対応がとられてきましたが、評価ルールそのものを見直すことで抜本的な規制を図ります。

 マンションは階数が変わったとしても住戸面積が同じなら固定資産としての評価額は変わりません。その一方で、実売価格は眺望のよい上階になればなるほど高くなるため、高層階ほど実勢価格と評価額の開きが大きくなる傾向があります。これを利用し、相続を見込んでタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた直後に高額で売却するのが「タワマン節税」です。

 あくまで合法な手段ではあるものの、当局はこれを税逃れ目的の行為とみなし、税額の軽減効果が著しい事例にターゲットを絞り、「総則6項」を用いて否認してきました。この項目が適用されれば最終的には国税側の言い値が適用されることになります。

 昨年12月に与党が発表した税制改正大綱では、「現状を放置すれば、マンションの相続税評価額が個別に判断されることもあり、納税者の予見可能性を確保する必要もある」と見直しの必要性に言及し、「時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と明記していました。

 1月30日に開催された第1回の有識者会議に出席した委員からは、「価格かい離はタワマンだけの問題ではなく、マンション全体の評価ルールを見直すべき」、「住宅購入者がマンションか一戸建てかを選ぶ際のバイアスとならないよう、急激な評価増は避けるべき」などの意見が上がっています。会議では全体の方向性として、一部の税逃れの防止のみが目的ではなく、評価額と時価のかい離の是正を目指すことを確認しました。有識者会議は今後も複数回開催される予定で、その結論を基に相続税の財産評価基本通達が見直される見込みです。

コラム 2023月03月7日

《コラム》企業型DCの資産放置 約2,600億円!

◆転職・退職時に手続きせず
 企業で加入する企業型確定拠出年金DC(企業型)で約112万人分の年金資産(積立額)が運用されずに放置された状態になっていることが、国民年基金の調べによりわかりました。加入者(従業員)が転職・退職時などに必要な手続きを取らなかったことで国民年金基金に自動移換され、公表記録のある2017年度末から2021年度末でその数は1.5倍に増え、総額は約2600億円に上るということです。

◆企業型DCの資格喪失後は
 DCでは原則60歳までは資産の引き出しはできません。従業員が60歳未満で中途退職して企業型DCの資格喪失をした場合は
①他の企業型DCに資産を移す(移換)
②iDeCo(個人型)に資産を移す
と2つの方法があり、これを「ポータビリティ」といいますが、DCでは転職・退職に伴う手続きを自分で行う必要があります。
 資格喪失後6か月以内に移換手続きをせずに放置しておくと自動的に売却・現金化により国民年金基金連合会(または特定期間運営管理機関)の口座に移換されます。

◆自動移換されるとどうなるの?
 自動移換されると国民年金基金連合会や特定運営管理機関の手数料が毎月かります。資産運用の指図や給付金請求もできません。また、加入期間の通算もされません。
 ただし、自動移換されても他のDCに切り替え手続きを行えばそちらに移換できます。

◆企業型DC加入者の退職時の手続き
 加入者が60歳未満で中途退職した場合、企業が加入者の資格喪失手続きを行うと10日後位に資格喪失した通知が自宅に届きます。通知は今後の移換に必要な情報が記載されているので大切に保管しておきます。
①転職先の企業型DCに移換する時は必要書類を取りよせ記入後転職先に提出します。
②転職先に企業DCがないか自営業者、専業主婦(夫)になる場合、iDeCoの口座を開設します。加入申込書と「個人別管理資産移換依頼書」を提出し、さらに会社員や公務員がiDeCoに加入する場合は事業主の証明書も添付し、運営管理機関に提出します。手続き完了には2か月近くかかります。
 企業の担当者は従業員の退職時には企業型DCの資産移換についても忘れずにアドバイスをしてあげましょう。

コラム 2023月03月7日

《コラム》コロナ対策の重荷で雇用保険料引き上げ

◆2023年4月から0.2%引き上げ
 厚生労働省の労働政策審議会は雇用保険料を2023年4月から0.2%引き上げることとし、労使が負担する保険料率は賃金の1.35から1.55に上げることを了承しました。労働者の料率は0.5%から0.6%に、事業主は0.85%から0.95%と0.1%ずつ上がります。新型コロナ禍の雇用下支えが長期化し財源の枯渇を招いたのです。

◆財源の正常化遅れる
 雇用保険制度は保険料を事業主と労働者が負担する「失業等給付」と「育児休業給付」、事業主のみが負担する「雇用保険2事業」の3つの区分があり、改定は失業給付向けの保険料だけを改定します。コロナ禍で膨大な資金を使ったためで、従業員の休業時などに支給する雇用調整助成金は支給要件を大幅に緩和したこともあり、2022年12月初旬で6兆2千億円を超えて支給しました。
 雇調金は2事業の積立金から支払うことになっていますが、不足したため失業給付積立金から借り入れる事態となったのです。
 もともと失業給付の積立金は潤沢であったので保険料率を法定の原則より下げた状態が続きましたが、今回の引き上げ改定で原則に戻ることになります。
会社の支出が増えるほか手取りも減るので経営者が賃上げしても労働者に実感してもらいにくい状況ではあります。

◆雇調金で失業抑制の一方で
 世界の主要国はすでにコロナ禍で特例的に実施した雇用の下支えは終了していますが、日本は2023年3月に終了を予定しています。労働政策研究機構によると英米はコロナ禍直後に集中的に下支えを実施、21年度中に終了したところもあり、世界的に雇用下支えの縮小、終了となってきています。
 厚労省は雇用調整助成金で失業率を抑制できた、100万人規模の雇用を守ったと試算しています。一方で雇用調整助成金は、企業が過剰労働力を抱えているのに労働市場に出る求職者を減らす面があります。雇用を守り失業を防ぐ半面、新規労働市場に出る求職者が減ってしまうということがあります。足元では人手不足にも対処しなくてはなりません。成長分野への労働移動を阻害しないように努める必要もあります。

税務トピックス 2023月02月28日

相続人なき遺産が過去最高の647億円

 少子高齢化や婚姻数の減少などを背景に、相続人がいないなどの理由で国庫に入る相続財産が増え続けています。2021年度に相続人不存在で国庫に入れられた相続財産は過去最高を記録しました。朝日新聞の報道によると、前年度比7.8%増の647億459万円だったそうです。20年前は約107億円、10年前は約332億円だったため、20年間で6倍に増えた計算です。

 身寄りがない人が死亡して、財産の受け取り手が誰もいないケースでは、利害関係者か検察官の申し立てを受けて、家庭裁判所が相続財産管理人を選任することになります。選ばれた管理人は被相続人の債権者に相続財産から弁済し、公共料金などを支払い、残りは国庫に納まります。

 ただ相続人がいない状況で必ず国に財産が移るかというと、そうではありません。相続人がいない被相続人の財産は、被相続人と生計を一緒にしていた人や介護・看病をしていた人などの「特別縁故者」に該当する人であれば受け取れるためです。代表的な特別縁故者は、内縁の妻や夫で、裁判所に特別縁故者と認められれば財産を受け取ることが可能。近年では、被相続人が生前に長く過ごした養護施設などが受け取る例も出ています。16年に名古屋高裁が下した判決では、知的障害がある男性が35年間生活を送った障害者支援施設を特別縁故者と認定し、約2200万円の遺産受け取りを認めました。

 内閣府によると、ここ数年の婚姻数は毎年60万組ほどで推移しています。第1次ベビーブーム世代が結婚適齢期を迎えた1970~74年の年間100万組と比べると、未婚率は大幅に上がっているのが現状。配偶者や子がいなければ財産が国のものになる可能性が高いので、もし国に財産が渡るのが嫌なら、遺言の作成や養子縁組などで財産の引き受け手を事前に決めておくのが賢明です。

<情報提供:エヌピー通信社>

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