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コラム 2022月06月28日

《コラム》公益通報者保護法の改正~役員も対象になります~

◆公益通報者保護とは
 公益通報者保護とは、「公益のために通報を行った労働者を保護するためのツール」とされています(消費者庁HP)。
 従来、「リコール隠し」や「産地偽装」「事故の隠ぺい」などの会社の不祥事について、労働者から行政機関などへ通報(内部告発)が多くなされてきました。
 公益通報を行った労働者が保護されないと、公益通報をしたことによる不当解雇などの不利益を被る可能性がありますので、労働者が安心して公益通報をしやすくするための法律が「公益通報者保護法」です。

◆「公益通報者保護法」の改正
 「公益通報者保護法」は2006年に施行され、施行後5年を目途に見直しするとされていましたが、今年6月から改正法が施行されることとなりました。
以下の3点が改正の目的とされています。
①事業者自らが不正を是正しやすく、安心して通報が行われやすくする。
②行政機関等への通報を行いやすくする。
③通報者がより保護されやすくする。
 ①については、窓口の設定、調査是正措置などの体制整備の義務づけ(300人以下の中小事業者は努力義務)、助言指導・勧告・公表などの行政措置の導入、通報者特定情報の守秘の義務化などが行われます。
 ②については、行政機関や報道機関等への通報の条件が拡大されます。
 ③については、通報に伴う損害賠償責任の免除が追加され、保護対象の通報は刑事罰だけでなく、行政罰も加わりました。

◆役員も公益通報者保護の対象に
 公益通報者の範囲が拡大され、労働者だけでなく、退職後1年以内の退職者、役員(自ら調査是正措置に努めたことが前提)も新たに対象となりました。
 役員に公益通報を行ったことによる解任などの不利益が生じた場合、当該役員は会社に対して損害賠償請求が可能となります。
 会社としては、労働者以外に公益通報者保護の対象が拡大することを前提に準備と対応が求められます。

コラム 2022月06月28日

《コラム》換価分割の課税

 実家の土地を相続したものの、相続人には持ち家がある場合、たとえ家族の思い出が詰まった懐かしい家であっても、取り壊して売却せざるを得なくなることがあります。このようなとき、土地の売却代金を相続人の間で分ける換価分割が行われます。

◆相続税と譲渡所得税
 相続開始の後に売却するのであれば、相続税評価額(路線価や倍率評価)で相続税を計算し、譲渡所得税は、被相続人の取得価額と売却価額をもとに計算します。相続税と譲渡所得税が課税されますが、相続税は遺産の取得に対して課税されるのに対し、譲渡所得税は、被相続人の取得時から蓄積されたキャピタルゲインの実現に対する課税ですので、それぞれ異なり、二重課税とは考えられていません。
 また、譲渡所得の計算では、先に課税された相続税のうち、土地の価額に対応する部分は、取得費に加算され、その分、譲渡所得税の負担は少なくなります。
 なお、相続開始前に、土地の売買契約が締結されていたときは、売却価額で相続税が課されることがあるので注意しましょう。

◆分割協議が未了のときは
 申告期限までに遺産分割協議が調ったときは、相続税も譲渡所得税も遺産分割の割合で按分しますが、分割協議が調わないときは、どちらも法定相続分で計算されます。
 相続税の申告期限後に遺産分割協議が調った場合は、修正申告または更正の請求により相続人の間で相続税の負担を精算することができます。しかし、譲渡所得税については、申告期限後に分割協議が調ったとしても遺産分割の割合で修正申告や更正の請求をすることはできず、法定相続分での申告のままとなります。税務署からすれば一度、納税が行われているので申告期限後の分割の変更は、相続人の間で精算してくださいという考え方のようです。

◆隠れた債務が見つかったときは
 相続は実家の土地・建物だけと思っていたら、実は、親が生前、親族から金銭の支援を受けていたことがわかることがあります。このようなときは、親族間の争いでもある場合を除き、売却代金の一部を債務の返済に充当することになります。親族から親が金銭支援を受けた当時の事情を聞いて納得できる場合、これまでの親族の支援に感謝して親の債務を引き継ぎ、債権債務関係を清算することで相続手続きは終わります。

コラム 2022月06月21日

《コラム》企業がSDGsに取り組む理由

◆最近よく聞くSDGsとは
 SDGsは「持続可能な開発目標」のことです。「誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現」のため、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年を年限とする17の国際目標があり、その下に169のターゲット、231の指標が決められています。
 日本国内では国が主導してSDGs推進本部を構成し、政府施策のうちの重点項目を整理した「SDGsアクションプラン」を策定。SDGs達成に資する優れた取組を行う企業や団体を「ジャパンSDGsアワード」を通じて表彰しています。

◆企業はなぜSDGsを推進するのか
 最近、SDGsに取り組んでいることを掲げている企業が増えています。単純に「SDGsに取り組んでいます」という宣誓は社会責任を果たしている組織ということですから、イメージアップしやすいというのはありますが、他にもメリットはあります。
 近年、地球温暖化や食料不足等の社会課題に対する危機意識が高まっています。その社会課題を地球規模の「需要」と捉えると、その部分にビジネスチャンスがあると考えることもできるわけです。SDGsに取り組むことによって製品やサービスに付加価値が生まれることもあります。例えば自然環境に配慮した製品であれば、見た目や機能が同じものでも、消費者が購入を決める際の判断材料の一つになるということです。

◆資金調達面でもSDGsが有効?
 金融業界が企業に投資する際に、財務情報を見るのはもちろんですが、国連は金融業界に対して「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(管理体制)」の略称であるESGを反映するよう提言しています。SDGsはESGを考える上で重要な指標となっているため、資金調達でも有利になることがあるのです。

◆中小企業のSDGsの相談先
 中小企業のSDGsへの取り組みについては人員や資本の問題もあり、「考えたこともない」という会社も多いと思います。ただ、今後は社会課題に対しての企業の姿勢に目を向けられる機会は増えてゆくはずです。
 自社でSDGsの何を目標にして、どう活動してゆくのかは、各都道府県にある中小企業支援センター等のよろず支援拠点で相談が可能ですので、この機会に検討をしてみてはいかがでしょうか。

コラム 2022月06月21日

《コラム》業務改善助成金の活用で効率化促進

◆業務改善助成金とは
 事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げをすることを図る中小企業・小規模事業者を支援する制度です。会社内で最も低い賃金を引き上げ、労働時間の短縮になるような機械設備やシステムなどを導入した場合にその費用の75%(生産性要件対象となる場合は80%)を支給します。

◆対象となる中小企業
ア、従業員数が100名以下である
イ、正社員・アルバイト、パートタイマー等を雇用している
ウ、導入する機械設備などの見積書を2社の業者から取り寄せ、低い方の業者を選定した

◆制度の概要
①事業場内の最低賃金を30円以上引上げ
②生産性向上のための設備投資
 助成率はかかった費用の75%から80%です。助成額は引き上げる賃金及び引き上げる労働者数に応じて30万円から600万円。例えば7人以上の従業員の時給を30円上げ、かつ生産性向上のために機械設備を購入した場合、助成額は最高100万円です。
 最低賃金は毎年30円程度アップするのでそれに合わせて引き上げるとこの制度が続いていれば次年度も対象になります。

◆過去に助成の対象となった事例
設備投資例
・機械設備…自動釣銭機、券売機、洗浄機、原料充填機、ベルトコンベア、包装機械等
・システム…POSレジシステム、受発注機能付ホームページ・WEB会議システム・顧客管理システム・生産性管理システム等
・その他…業務マニュアル作成、改修等による店舗レイアウト変更、フォークリフトの導入・運搬用冷凍車購入など
 具体的な例でみると、飲食業であればデリバリー導入のため受注から提供までの時間が増加するため、効率化をはかった。その結果デリバリー用バイクの導入、オンライン受注システム導入、レイアウト変更等を行った。介護職で非接触自動検温器の導入や、製造業での営業担当者のWEB会議システムの導入などの例もあります。

コラム 2022月06月14日

外貨建保険の募集人に新ライセンス

 契約時に元本割れリスクの説明が不十分だったとして近年苦情が相次いでいる「外貨建保険」を巡り、生命保険協会は募集人のリテラシー向上へ向けた新たなライセンスとして「外貨建保険販売資格」の運用をはじめました。今年4月以降は有資格者でなければ外貨建保険を販売できないようになっています。

 外貨建保険とは、米ドルや豪ドルなどの外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金を受け取る仕組みの生命保険商品のことを指します。払い込んだ保険料は外国債券などにより運用されるため、保険でありながら運用実績や為替相場の変動などにより損益が発生する特徴があります。国内の金利が低位にとどまり続ける中、外貨による利回りが期待できるとして外貨建保険の販売額は2010年代に急伸しました。

 しかし近年は、相場・為替変動による元本割れのリスクや早期解約のペナルティー手数料の発生といった重要事項の説明が不十分だったとして契約者が代理店に苦情を申し立てる事例が相次いでいます。

 生命保険協会のデータによると、銀行等代理店で発生した外貨建保険契約に関する苦情の件数は調査を開始した2012年度の597件から年々増加し、19年には2822件に上りました。20年には新型コロナの影響で対面販売が敬遠されたことに伴い苦情件数も減少したものの、金融庁による21年の調査によれば外貨建保険の運用の結果として全体の4割の契約者で含み損益が赤字に陥っていて、「引き続き苦情が発生する可能性は高い」と業界に向け改善を促しています。

 金融庁からの要請を背景に、生命保険協会は募集人のリテラシー向上を促すため「外貨建保険販売資格試験」を2020年に創設しました。同年8月から生命保険会社の職員や代理店を対象に試験を実施し、今年4月からライセンス保有者のみ外貨建保険を販売できるようになっています。

<情報提供:エヌピー通信社>

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