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税務トピックス 2021月11月30日
取引先の倒産時に備えて掛け金を納付する「中小企業倒産防止共済制度」をめぐり、一部の個人事業主が解約時の返戻金を収入計上せず、適切に所得税を納めていなかったことが会計検査院の調査で分かりました。申告漏れは調査対象だけでも約3億円超に上るとみられ、検査院は国税庁に対し確定申告時の審査体制を整備するなど改善処置を要求しました。
同制度は、取引先が倒産して売掛金が回収困難になった場合に、掛け金の10倍以内で貸し付けが受けられるもの。毎月払う掛け金は経費計上ができますが、解約時には返戻金が支給され、その返戻金額は総収入金額または益金の額に算入することが原則義務付けられています。益金として当然、所得税の課税対象となります。しかし検査院によると、「(国税当局は)返戻金額の収入計上を行う必要があることを納税者等に対して具体的に周知していなかった」そうです。
検査院が全国34税務署を調査したところ、2016~18年に共済を任意解約した個人事業主464人の4割に当たる189人が、返戻金計約3億2600万円を受け取ったにもかかわらず、適切に収入計上していない可能性があることが判明しました。掛金納付額の経費計上についても、納税者が適切な申告を担保するための措置がとられていませんでした。
また検査院が個人の掛け金納付者1567人について調査したところ、書類に不備が認められるケースが906人(約6億円分)に及んでいました。検査院は、国税庁が納税者の意思表示に必要な記載項目を示した明細書の様式が定められておらず、「個人の納税者の適切な申告を担保するための措置を執っていない」と指摘しています。
検査院の指摘を受け、国税庁は今夏に法令解釈通達を改正し、確定申告の申請様式を変更しています。また掛け金の明細書など、必要な添付書類を明示したものにしました。
検査院は国税庁に対し、今後は返戻金額につき不適切な収入計上の申告を可能な限り防止するとともに、税務署の書面審査で納税者が共済契約の解約者であるかどうかなどを確認した上で、返戻金額が適切に収入計上されていることの審査を行うよう求めています。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2021月11月23日
今年も「赤い羽根募金」が始まりました。赤い羽根募金は、社会福祉事業のための募金活動で、基本的に毎年10月1日~翌3月31日の半年間にわたって行われます。この機会に、寄付に対する税金を確認しておきましょう。
赤い羽根募金はもともと、1947年に戦災で焼け出された孤児たちを救済するために始まり、その後の社会状況の変化とともに、福祉施設の増改築や高齢者の支援、公園の整備、障害者支援など、幅広い社会福祉活動への支援のかたちとして続いています。ちなみに赤い羽根は、アメリカの先住民族の羽かざりに込められた「勇気と良い行い」を示しているそうです。
この赤い羽根募金への寄付は、公益性、緊急性が高い寄付金として財務大臣が定める「指定寄附金」の一つとされ、個人による寄付は2千円を除いた全額が所得控除か税額控除の対象となります。また法人による寄付であれば、全額を損金に算入することが可能です。
もっとも個人の寄付に関する税の扱いは、赤い羽根に限らず、原則として同じ。「自己負担は2千円」と言われる「ふるさと納税」も、同様の寄付金控除のルールに沿っています。
一方、法人が行う寄付については、赤い羽根など国が指定した特別な寄付金か、特定公益増進法人への寄付金か、それ以外かなど、寄付先によって損金に算入できる割合が変わってくるので気を付けましょう。
<情報提供:エヌピー通信社>
お知らせ 2021月11月23日
この施行は、改正産業競争力強化法等一括法の施行日からとされていたためか、財務省や国税庁での案内はなく、この施行を広報したのは、中小企業庁でした。
なお、一括改正法の施行は、法公布日(6月16日)、公布後1ヶ月以内、3ヶ月以内、1年以内、と分かれていたので、経営資源集約化税制の施行と関連のあるものの施行の判別が分かりにくい状態でした。
中小企業庁は、8月2日に、「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)の活用について」を公表しました。
先の施行日を待っていたような対応で、中小企業庁の主導の下での「経営力向上計画」認定申請等の様々な手続きを経る必要があります、という案内をし始めました。
この税制は、令和6年3月31日までに株式取得によってM&Aを実施する場合(取得価額10億円以下に限る)に、株式等の取得価額として計上する金額(取得価額、手数料等)の70%以下の金額を準備金として積み立てた時は、その事業年度において損金算入される、というものです。
ただし、この準備金は、積み立て後5年を経過した事業年度以降5年間で準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入します。
この制度創設の趣旨については、税制改正大綱は、「その株式等の価格の低落による損失に備えるため」とし、財務省の税制改正パンフレットは、「M&A実施後に発生する中小企業の特有のリスク(簿外債務、偶発債務等)に備える観点から」とし、「税制改正の解説」も、中小企業M&A市場の未成熟さや費用負担の困難性が生む投資リスクに備える為の支援措置だ、としています。
準備金の任意取崩し、経営力向上計画の認定取消し、本税制対象子会社の解散・合併消滅、その株式の帳簿価額の減額(評価減や資本剰余金分配など)、その株式の譲渡、青色申告の取消し、等々の場合には、準備金の全部又は一部の取崩しをし、益金算入することになります。
税務トピックス 2021月11月16日
全国の平均地価が2年連続の下落となったことが基準地価の公表で明らかになりました。もっとも住宅地などでは下落幅は縮小し、大幅な伸びを示したエリアもあります。
国土交通省が公表した基準地価は、今年7月1日時点での全国の土地の価格を都道府県が調査し、公表したもの。最新の基準地価は、住宅地や商業地など全用途の全国平均は前年比で0.4%下がり、コロナ禍の影響を受けた前年に引き続き、2年連続で下落しました。
ただ詳しく見てみると、地域や用途によって地価傾向は異なっていることが分かります。例えば東京、大阪、名古屋の三大都市圏の商業地をみると、東京圏が小幅ながらも上昇を維持、名古屋圏がマイナスからプラスに2.0ポイント改善したのとは対象的に、大阪圏だけが唯一、マイナス0.6%と下落していることが分かります。
インバウンド需要で近年大きく地価を上げてきた大阪の商業地が下落するのは、2012年以来9年ぶりのこと。どこよりもインバウンドの恩恵を受けてきた大阪は、繁華街の中心であるミナミの地点が商業地の下落率ワースト2、3となるなど、コロナ禍によってインバウンドが消滅した今、他地域に増して厳しい状況に置かれています。
コロナ禍でも堅調な伸びを示しているのが、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の、いわゆる「札仙広福」と呼ばれる地方中核4都市。住宅地では前年を超える4.2%、商業地でも前年ほどではないものの4.6%と、三大都市圏を大きく上回る伸びを見せています。例えば札幌市は、鉄道駅徒歩圏の利便性が高い地域を中心とした需要の堅調さなどを受け、住宅地が7.4%上昇、福岡市の商業地では7.7%上昇などと目立った上昇を示しています。
全用途での地価上昇ベスト10を見ると、最も地価が高騰したのは沖縄県豊見城市9-1の地点。同地点は工業地ですが、国道の拡充を機に那覇市街や那覇空港へのアクセスが向上した結果、物流拠点としての需要が高まり、3割近い急騰をみせました。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2021月11月16日
10月に登録受付が始まったインボイス制度の周知が全く進んでいません。企業間取引の電子化を手掛けるインフォマートによる調査で、インボイスが導入されるにあたっての対応を検討している事業者は全体の1割にとどまるという結果が出ました。インボイス制度への対応を怠ると仕入にかかった消費税の税額控除が受けられなくなる可能性があるため、事業者への早急な認知拡大が求められています。
調査結果によると、インボイス制度について「対応を検討している」とした割合は10.3%にとどまり、「よくわからない」が55.3%、「対応を検討していない」は34.4%に上りました。
インボイス制度を適用するための事前登録申請の受付は今年10月1日から始まっています。制度の開始は2023年10月で、それ以降は原則としてインボイス(適格請求書)発行事業者以外との取引では消費税の仕入税額控除を受けることができなくなります。
免税事業者は発行事業者として登録することができないことから、免税事業者と取引をしている企業は仕入で支払った消費税分だけ損することになります。そのため免税事業者が取引から排除される懸念があり、実施後6年間は仕入税額相当額の一定割合を控除可能とする経過措置が設けられていますが、29年10月からは100%控除不可となります。
都内の税理士の一人は「導入間際になってバタつく事業者が多発するのではないか」と混乱を懸念しています。
<情報提供:エヌピー通信社>
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