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税務トピックス 2022月03月1日

(前編)青色申告と白色申告の記帳や帳簿等の保存の相違点

青色申告でも白色申告であっても、個人事業者が1年間に生じた所得を正しく計算して申告するためには、日々の取引の状況を記帳し、帳簿や書類を一定期間保存する必要があります。

青色申告者は、原則として正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳を行わなければなりませんが、簡易帳簿で記帳してもよいことになっております。
標準的な簡易帳簿の種類には、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳の5つあります。

青色申告者の帳簿書類の保存期間は、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳などの帳簿は7年、損益計算書、貸借対照表、棚卸表などの決算関係書類は7年、領収証、小切手控、預金通帳、借用証などの現金預金取引等関係書類は7年(前々年分所得が300万円以下は5年)、取引に関して作成し、又は受領したその他の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)は5年となっております。
一方、青色申告者以外の白色申告者についても、記帳・帳簿等の保存制度が設けられております。

(後編へつづく)

(注意)
上記の記載内容は、令和4年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2022月03月1日

(後編)青色申告と白色申告の記帳や帳簿等の保存の相違点

(前編からのつづき)

事業所得等(事業所得、不動産所得及び山林所得)を生ずべき業務を行うすべての人(所得税及び復興特別所得税の申告の必要がない人も含む)については、帳簿を備え付けて収入金額や必要経費に関する事項を記帳するとともに、帳簿や書類を保存する必要があります。

白色申告者は、収入や必要経費など必要事項がきちんと記帳されていれば、記帳の形式は自由であり、白色申告者の帳簿書類の保存期間は、収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年、業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)は5年、決算に関して作成した棚卸表その他の書類及び業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類は5年となっております。

なお、青色申告者の特典の一つに、事業所得又は不動産所得を生ずべき事業者が、正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づき作成した青色申告決算書を確定申告書に添付し、確定申告書を提出期限内に提出する場合は、これらの所得を通じて最高55万円(e-Taxによる電子申告等の場合は最高65万円)を控除できる青色申告特別控除があります。

(注意)
上記の記載内容は、令和4年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2022月02月22日

租特による減税額、10年間で17兆円に

 政府は研究開発や投資、賃上げなどを行った企業に減税を行う租税特別措置(租特)の2020年度分の適用実績についての報告書を通常国会に提出しました。企業向けの租特は政策効果が不透明な上に巨大企業などに恩恵が偏っていることも指摘されていて、制度是正は長年の課題となっています。

 租特は業界団体や関係省庁の要望を受け、与党の税制調査会が新設や拡充を決定しています。税収減につながる一方で政策効果が十分に検証されていないことや、巨大企業に恩恵が偏り公平性が損なわれているといった弊害も指摘されています。

 民主党(当時)政権時代の2010年に成立した「租特透明化法」に基づき、政府は毎年、企業向け租特の適用額や件数についての報告書を国会に提出するようになりました。今回提出されたのは20年度分の報告書で、財務省は報告書の数字をもとに全体の減税額を計算します。適用実績が初めて公表された11年度は減税額が9049億円でしたが、成長戦略を掲げる第2次安倍晋三政権以降に一部租特は拡充され、14年度以降は毎年度の減税額が2兆円程度にのぼっています。20年度も同程度になる見込みで、10年間で計17兆円程度に達する見通しです。

 減税額としては研究開発に使った費用の一部を法人税から差し引ける「研究開発税制」や、賃上げを行った企業に税制優遇を行う「賃上げ税制」などが特に大きくなっています。この2つは20年度分についても減税額が判明していて、研究開発税制は5053億円、賃上げ税制は1650億円でした。

 租特は中小企業のみを対象としたものもありますが、研究開発費や設備投資額などに応じて優遇する仕組みのものも多く、資金の少ない中小などは恩恵が限定されます。実際、研究開発税制では資本金100億円超の巨大企業が適用件数の54%、額では93%を占めています。税理士の試算によると、巨大企業は租特による大きな減税効果により、中小などに比べて実際の法人税負担率が大幅に低くなっているそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2022月02月22日

確申期到来 年またぎの入院費用の注意点

確定申告シーズンとなった中で、昨年にかかった医療費のレシートをこれから整理しようという人もいると思われます。
1年間の医療費が10万円を超えた時には、超過分を所得から差し引ける「医療費控除」の制度が使えるからです。
確定申告という年に1回の税金の手続きでは処理の方法をめぐって頭を悩ませる人も多く、医療費控除でも毎年多くの疑問が出ています。

例えば、昨年12月から今年1月にかけて入院をした時などの医療費は、昨年と今年のどちらの医療費に含まれるのでしょうか。
こうしたケースでは、原則として「支払った日」が属する年の医療費として扱うのが正しい処理となります。昨年末から継続的に治療を受けていたとしても、その代金をまとめて支払ったのが今年に入ってからであれば今年の医療費となるというわけです。
またクレジットカード払いならカードを切った日が判定のタイミングとなり、たとえその後分割払いを選んだとしても、医療費に関しては最初の決済時が属する年で判断します。

特にややこしいのは、入院などをして健康保険組合や共済組合から一時金などを受け取った時です。「医療費」を計算する際にはこれらの一時金を差し引かなければなりません。
すなわち、控除対象となる医療費が一時金の分だけ減額されることになります。
さらに入院が年をまたいでいるケースでは、それぞれの年にかかった医療費の割合に応じて各年の一時金の受取額を案分しなければならないので注意が必要です。

例えば一時金が30万円で、対象となる医療の費用が昨年は医療費全体の4割、今年が6割だとするなら、それぞれ昨年の医療費から12万円、今年の医療費から18万円を差し引くのが正しい計算方法となります。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2022月02月15日

《コラム》不動産賃貸経営者は要注意!居住用賃貸建物の仕入税額控除

◆令和2年10月より取扱いが変わりました

マンションやアパートを賃貸する目的で建物を建築した際には、その建物の建築費・購入費に消費税が課されます。一般に建築費や購入額は高額となりますので、その消費税額も大きな金額になります。
この建物を居住用として賃貸するときは、建物の取得に係る消費税は非課税の売上げ(住宅の貸付け)に対応するものであるため、賃貸する側の仕入税額控除は、採用する計算方法により、取扱いが異なりました。
①「個別対応方式」…控除できない
②「一括比例配分方式」又は「全額控除」
…控除する余地あり
②を用いるため、金の売買により課税売上割合を意図的に引上げる事例もあったことから、居住用賃貸建物に係る消費税は、すべて控除できないこととなりました。

 

◆税抜き1,000万円以上の建物等が制限対象

制限対象となる「居住用賃貸建物」を大まかに言うと、次のようなものになります。
①住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であること
②税抜きの対価が1,000万円以上である建物・建物附属設備
例えば、ホテル・旅館や販売までの間、居住用賃貸を行わないことが確実な販売用不動産のような、客観的に「課税売上げのみに対応するもの」は、仕入税額控除の制限対象となりません。それ以外のものが、制限対象の「居住用賃貸建物」となります。
ただし、居住用賃貸建物に商業用賃貸部分(課税売上げ部分)と居住用賃貸部分(非課税売上げ部分)がある場合に、これを合理的に区分しているときは、商業用賃貸部分の仕入税額控除は制限されません。

 

◆事務所賃貸に変えた場合・譲渡した場合

この新しいルールにより仕入税額控除の制限を受けた建物について、調整期間(大まかに言うと3年間)中に、次のような状況に変わった場合には、仕入れに係る消費税額の調整が行われます。
①建物を課税賃貸用に供した場合
②建物を他の者に譲渡した場合

この場合、取得時に仕入税額控除が適用できなかった消費税額のうち、課税売上げ(①又は②)に対応する部分として一定の算式により計算した金額を、仕入税額控除の消費税額に加算します。

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