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その他 2025月06月3日

【時事解説】中小企業におけるローカルベンチマークの活用 その1

 中小企業の成長に向けた支援においては、自社の経営状況や課題などを的確に把握することが求められます。
 こうした中、企業の経営状態を把握するためのツールとしてローカルベンチマーク(以下、「ロカベン」)への期待が高まっています。

 ロカベンとは、企業の経営者と支援機関等が同じ目線で経営に関する対話を行うことができるよう作成されたツールである「ローカルベンチマーク・シート」を作成・活用することで、企業の経営改善等を目指すものです。財務情報としては、①売上増加率、②営業利益率、③労働生産性、④EBITDA有利子負債倍率、⑤営業運転資本回転期間、⑥自己資本比率の6つの指標が用いられています。そして非財務情報としては、「業務フロー」、「商流」、「4つの視点(①経営者への着目、②事業への着目」、③企業を取り巻く環境・関係者への着目、④内部管理体制への着目)が用いられており、これらの内容を整理することで企業の抱える課題や強みを把握できる点が特徴です。

 2023 年4月には、ロカベンの記入事例や解説、対話例などを盛り込んだ作成ガイドである「ローカルベンチマーク・ガイドブック」が改定され、SDGsやDXへの取組事例等が追加されました。同ガイドブックは企業編と支援機関編に分かれており、企業・支援機関双方の視点から、事業についての理解を深めることができるようになっています。

 ロカベンの活用は、企業の経営者が自社の業界内における位置付け等を客観評価しつつ自社の事業について理解を深めることができるだけでなく、金融機関・支援機関等とともに経営課題を解決し、新事業の展開に向けて踏み出すことにもつながるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2025月06月3日

【時事解説】中小企業におけるローカルベンチマークの活用 その2

 では、ローカルベンチマーク(以下、「ロカベン」)は具体的に中小企業においてどのように活用されているのでしょうか。そこで中小企業庁編「中小企業白書2024年版」において、ロカベンを活用した企業の事例として紹介されたわさび屋株式会社(本社所在地:岐阜県郡上市)の取組みについてみていきましょう。

 わさび屋株式会社は、わさびの栽培からわさび加工食品の製造・販売を行う企業です。同社ではコロナ禍により経営環境が悪化したことを受け、民間金融機関による実質無利子・無担保融資を活用しました。その一方で、今後の元金返済開始に備えて、経営改善の取組みを行う必要がありました。
 こうした状況下で、現社長は、岐阜県信用保証協会よりロカベンの活用について提案を受けました。その後、実際にロカベンを作成するにあたり、「業務フロー」、「商流」の内容に沿って保証協会や同社の従業員と対話しつつ、自社の業務を5つに分けて業務内容と差別化のポイント(強み)をまとめました。

 こうした取組みにより、他社との差別化ポイントに気づくことができたことに加え、ロカベンの「4つの視点」を作成する中で、「後継者の育成」、「在庫管理・取引先管理のデジタル化」などの課題も明確になりました。また、全従業員が業務全体を把握し情報を共有することができるなど、従業員の意識改革にもつながりました。その後、同社では、ロカベン作成により気付いた自社の強みや知的資産を活かしつつ、大学と連携し新商品の開発に成功しました。

 このように、ロカベンの活用は、企業の経営者が自社の事業への理解を深めるだけでなく、経営課題を改善し新事業展開に向けて踏み出すことにもつながるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

コラム 2025月05月30日

《コラム》外国株式配当金の外国税額控除

 個人の外国株式の配当金には外国の所得税が課されるほか、日本においても日本の所得税、住民税が課されます。同じ所得について二重課税となりますが、外国税額控除制度を利用して外国税額の全部又は一部を取り戻すことができます。

◆確定申告が必要となる場合
 外国株式が日本の証券会社に預託される場合、外国の所得税と日本の所得税、住民税が源泉徴収されますが、外国の証券会社に預託される場合は、外国の所得税の源泉徴収しか行われません。このため、源泉徴収される給与所得や退職所得以外で所得金額20万円を超える居住者には確定申告が必要となり、配当所得を総合課税又は申告分離課税で申告します。

◆外国税額控除額の算出
 外国税額控除は原則、その年に納付義務の確定する外国所得税に適用します。その年の所得税額のうち国外所得金額に対応する部分の金額を控除限度額とし、外国所得税額を所得税、復興特別所得税、道府県民税、市町村民税から順に控除します。
 その年の外国所得税額が控除限度額以下となる場合は、余った控除限度額(控除余裕額)を翌年以降3年間繰り越して、それぞれの年の控除限度超過額に充当できます。また、その年に控除しきれなかった外国所得税額(控除限度超過額)は、翌年以降3年間繰り越してそれぞれの年の控除余裕額から控除できます。

◆所得税の外国税額控除限度額の算定式
 所得税の外国税額控除限度額=所得税額 × A/B
 A:その年分の調整国外所得金額
 B:その年分の所得総額

◆外国税額控除の確定申告
 外国税額控除を受ける場合、確定申告書に「外国税額控除に関する明細書」と「外国所得税が課税されたことを証する書類」を添付します。「外国税額控除に関する明細書」は国税庁の書式に、所得の種類(株式の配当)、納付日(配当金の支払日)、課税標準額(配当金額、外貨と円換算額)、外国所得税額(源泉徴収税額、外貨と円換算額)等を記入します。外国証券会社の場合は年次報告書等から把握でき、配当日の為替相場(TTM)を乗じて円換算額を求めます。
 なお、e-Taxで申告すると「外国所得税が課されたことを証する書類」は第三者作成書類として手元に保管することで申告書の添付を省略できます。

コラム 2025月05月27日

《コラム》M&Aがぐっと身近に ~事業承継・M&A補助金~

◆経営を未来につなげる選択肢
 「このまま続けていいのか」「後継者が見つからない」。そんな悩みを抱える中小企業の経営者にとって、M&Aは決して特別なものではなくなってきました。国もこの動きを強く後押ししており、令和7年度にも「事業承継・M&A補助金」として、具体的な支援策がスタートする予定です。

◆最大1,000万円、専門家費用も補助
 この補助金は、事業承継やM&Aの際にかかる設備投資や専門家活用の費用などに対し、最大1,000万円(補助率2/3)を支援してくれるものです。たとえば、親族内や従業員への承継、第三者への売却など、経営のバトンをつなぐための支出をグッと軽減してくれます。

◆「売る」だけでなく「成長」の選択肢にも
 補助の対象は「売りたい企業」だけではありません。「これから買って広げたい」企業も、M&Aに伴うPMI(統合支援)費用などで使えます。また、譲渡・譲受のどちらでも専門家や仲介への報酬支出がサポートされるため、安心して検討が可能です。

◆申請はこれから本格化。準備がカギ
 この制度は、2月に事務局公募が完了し、現在(3月時点)補助金の詳細公募に向けた準備が進められています。本格的な募集が始まる前に、顧問税理士や中小企業診断士と一緒に計画を立てておくと申請時にスムーズです。
 この補助金は後継者難による“消滅”を防ぐだけでなく、「今のうちに会社の価値を高めて譲る」という考え方も応援しています。誰かに託すことは、会社の未来を守る立派な経営判断。廃業か継続か、悩む前に“第三の道”としてのM&Aを選択肢に入れてみませんか?

◆未来をつなぐ制度、まずは相談から
 制度をうまく活用すれば、これまで諦めていた選択肢が現実になります。まずは「相談してみる」ことから始めてみましょう。その一歩が、未来を変えるかもしれません。制度をうまく活用すれば、これまで諦めていた選択肢が現実になります。迷ったら、一度専門家に話を聞いてみるのがおすすめです。

税務トピックス 2025月05月20日

(後編)国税庁:令和5年分の国外財産調書の提出状況を公表!

(前編からのつづき)

 財産を種類別にみてみますと、「有価証券」が最多の4兆905億円(63.0%)、以下、「預貯金」8,479億円(13.1%)、「建物」5,064億円(7.8%)、「貸付金」1,835億円(2.8%)、「土地」1,620億円(2.5%)、「それ以外の財産」6,993億円(10.8%)となりました。

 なお、国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載して提出するため、適正な提出を確保するために以下の特例措置などが設けられております。
①提出された調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を5%軽減
②調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を5%加重
③国外財産調書に記載すべき国外財産に関する書類の提示等がない場合の加算税の軽減措置または加重措置の特例
④正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の懲役または50万円以下の罰金
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和7年4月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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