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税務トピックス 2024月10月29日

「総則6項」裁判、納税者勝訴

 非上場株式の相続税評価で「総則6項」を適用した国税当局の判断をめぐり争われた「相続税更正処分等取消請求事件」の裁判、いわゆる〝仙台薬局事件〟の裁判は、国が上告しなかったことで納税者の勝訴が確定しました。東京高等裁判所が国の控訴を棄却していたもの。上告提起の期限を経過した時点で、国が上告しなかったことが分かりました。

 この事件の経緯と概要を振り返ります。第三者への自社(非上場会社)株式売却によるM&Aを進めていた代表者(被相続人)が基本合意契約締結後に死亡。相続発生後に法定相続人らが交渉を引き継ぎ、基本合意に基づく譲渡予定価額とほぼ同額の1株当たり10万5068円で実際に株式譲渡。相続人らは通達評価額(類似業種比準価額)を用いて1株当たり8186円で計算して相続税を申告しました。

 これに対して国税当局は相続財産の評価が「著しく不適当」であると判断。課税庁が相続財産の価値を〝合理的〟に評価・課税する「総則6項」を適用し、鑑定評価額である1株当たり8万373円とすることが適当であるとして更正処分を行いました。相続人らはこの処分を不服として提訴しました。

 被相続人が東北地方を地盤として薬局チェーンを展開する会社のオーナー経営者だったことと、国税当局の〝伝家の宝刀〟とされる「総則6項」の適用をめぐる裁判であることなどから、税理士・会計事務所業界では、いわゆる〝仙台薬局事件〟として認識され、その行方が注目されていました。裁判では、「取引相場のない株式を『総則6項』の適用によって評価することの適否」と「『特段の事情』の有無」が争点となりました。

 東京地方裁判所は1月、総則6項の適用を認めず、更正処分と過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す判決を下しました。国は控訴しましたが、東京高裁が8月にこれを棄却。9月までに国が上告しなかったことが明らかとなり、納税者の勝訴が確定しました。

<情報提供:エヌピー通信社>

その他 2024月10月22日

(前編)国税庁:令和4年度分会社標本調査結果を公表!

 国税庁は、令和4年度分会社標本調査結果を公表しました。
 それによりますと、同年度分の法人数は290万9,847社(前年度比2.2%増)となり、2012年度以降、10年連続で増加しました。
 このうち利益計上法人(黒字法人)が113万2,434社(同3.8%増)あり、2年連続で増加して過去最大、欠損法人(赤字法人)は177万7,413社(同1.1%増)で3年連続の増加となりました。
 この結果、全法人に占める欠損法人の割合は61.1%となり、前年度比▲0.6ポイント(以下、▲はマイナス)となりました。

 全法人の営業収入金額は1,722兆2,818億円(前年度比16.5%増)で、2年連続で増加して過去最高となりました。
 所得金額も80兆359億円(同5.9%増)と3年連続で増加し、過去最大の2021年度分を4兆4,551億円上回りました。
 所得金額を業種別にみてみますと、増加額が最も大きいのは、「卸売業」(8,358億円増)となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和6年9月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

その他 2024月10月22日

(後編)国税庁:令和4年度分会社標本調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 「卸売業」に次いで「サービス業」(4,665億円増)、「運輸通信公益事業」(4,056億円増)となっており、増加率が最も高いのは、「鉱業」(33.7%増)、次いで「料理飲食旅館業」(30.2%増)と続きました。
 所得金額の減少額・減少率を業種別にみてみますと、減少額が最も大きいのは、「金融保険業」(▲4,969億円)、次いで「化学工業」(▲958億円)となりました。
 減少率が最も高いのは、「出版印刷業」(▲13.0%)、次いで「繊維工業」(▲10.1%)となりました。
 また、法人税額は14兆2,443億円(前年度比7.5%増)で2年連続の増加となりました。

 所得税額控除は4兆7,564億円、外国税額控除は8,196億円で、前年度比で所得税額控除は6,048億円(+14.6%)増加、外国税額控除は2,457億円(+42.8%)増加しました。
 繰越欠損金については、当期控除額が9兆3,400億円(前年度比▲7.4%)と2年ぶりに減少し、翌期繰越額は75兆5,231億円(同2.7%増)で、3年連続の増加となりました。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和6年9月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

コラム 2024月10月15日

《コラム》令和6年度地域別最低賃金

◆47都道府県で50円~84円の引上げ
 令和6年地域別最低賃金改定額が中央最低賃金審議会で取りまとめられ公表されました。各都道府県労働局長の決定により10月1日より順次発令されます。
 地域別最低賃金の全国整合性を図るため目安額のランクを設けていますが、3区分の改定額を見て行くとAからCの47都道府県すべてが50円以上引き上げられ、引上げ幅の最高は徳島県の84円でした。額では東京都が時給1,163円と最高です。
 最高額1,163円と最低額951円の金額差は212円です。差の割合は81.8%と地域格差は少しずつ改善しています。

◆28県で目安を上回る回答相次ぐ
 近年最低賃金は引上げの流れが続いていますが、消費者物価の上昇が大きいことも背景にあり、最低賃金引上げ幅も上昇しています。目安を上回る引上げが賃金の低い地方で相次ぎました。少しでも近隣の地域より高くすることで地域経済を活性化して若年層の流出を防ぎ、労働人口を確保するためには目安より高い金額が必須と上乗せした回答が27県ありました。引上げ幅の全国加重平均額は51円で過去最高となっています。

◆令和6年度の改定額は以下の通り
・50円改定 東京1163円 神奈川1162円 埼玉1078円 千葉1076円 北海道1010円 宮城973円 栃木1004円 群馬985円 富山998円 山梨988円 長野998円 静岡1034円 愛知1077円 三重1023円 滋賀1017円 京都1058円 大阪1114円 奈良986円 岡山982円 広島1020円
・51円改定 石川984円 岐阜1001円 兵庫1052円 和歌山980円 山口979円 福岡992円
・52円改定 茨城1005円 香川970円
・53円改定 福井984円
・54円改定 秋田951円 新潟985円 熊本952円
・55円改定 青森953円 山形955円 福島955円 高知952円 大分954円 長崎953円 宮崎952円
・56円改定 佐賀956円 鹿児島953円 沖縄952円
・57円改定 鳥取957円
・58円改定 島根962円
・59円改定 愛媛956円 岩手952円
・84円改定 徳島980円

コラム 2024月10月15日

《コラム》従業員に住所変更があった場合の社会保険と税金の手続き

◆従業員の住所変更時の社会保険の手続き
 社会保険に加入している会社で、従業員から転居等により住所変更をした旨の知らせがあった場合は、所定の届出が必要です。 
「健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届」を年金事務所に届けます。そして、住所変更を届け出る従業員に被扶養配偶者がいる場合、上記届出書と一緒に「国民年金第3号被保険者住所変更届」も提出します。これらの届出書は、持参・郵送・電子申請のいずれかで手続きします。
 なお、社会保険とマイナンバーの紐づけができている従業員については、住所変更の手続きをする必要はありません。
 適正に住所変更をしておかないと、年金に関する重要な通知(「ねんきん定期便」など)が本人に届かなくなったり、必要な本人確認ができなくなったりしますので、遅滞ない届出が必要です。

◆給与計算(所得税計算)のための住所変更
 住所の変更そのものが毎月の給与計算に影響を与えることはありませんが、住所の変更に伴い扶養家族が増えたり減ったりすることも少なくありません。扶養家族の人数が変われば毎月の源泉所得税の計算にも影響してきます。住所変更があった場合は、改めて「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告扶養控除等申告書」を提出してもらうか、変更箇所の書き直しを、遅滞なくしてもらってください。

◆住民税の届け出は必要か?
 住所変更先がこれまでとは違う他の市区町村となる場合によくある質問が、「住民税の特別徴収の変更手続きは必要か?」という問い合わせです。
 結論から言うと、住民税の特別徴収は当年1月1日に居住していた自治体(=旧住所)に課税権があり続けますので、変更届は不要です。年の途中に他の市区町村に引っ越ししても、住民税の納付先(=会社が給与から特別徴収して会社が納付する)は変わりません。
 新しい住所先での住民税は、会社が各従業員の翌年1月1日に住所地がある自治体に「給与支払報告書」を1月末までに提出し、それをもとに新住所のある自治体で課税が始まります。年末調整確認用の「扶養控除等(異動)申告書」に正しい現住所の記載があれば、翌年から適正に住所地のある自治体から住民税が課税されることになります。

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