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コラム 2025月02月18日

《コラム》減資による外形標準課税逃れへの対応

 外形標準課税から逃れるため、資本金を1億円以下に減資し、あるいは組織再編時に子法人の資本金を1億円以下に設定する法人への対応として、令和6年度税制改正では外形標準課税の適用対象法人を見直す措置が取られています。

◆資本金と資本剰余金の合計額が判定基準に
 令和7年4月1日以後に開始する事業年度において、事業年度末の資本金1億円超の法人を外形標準課税の対象法人とする従来の判定基準は維持しつつ、「当分の間」、資本金1億円以下であっても、前事業年度が外形標準課税の対象法人であり、払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が10億円を超える法人についても外形標準課税の対象とされることとなりました。
 また、駆け込みで減資を行う法人への対応措置として最初事業年度(令和7年4月1日以後、最初に開始する事業年度)には経過措置が適用されます。公布日(令和6年3月30日)の前事業年度から最初事業年度の前事業年度までのいずれかで外形標準課税の対象法人であったものは、課税される事業年度の「前事業年度」に外形標準課税の対象でなかったとしても、最初事業年度に資本金1億円以下で払込資本の額が10億円を超えるものは外形標準課税の対象とされます。たとえば3月決算法人が公布日後の令和7年3月期に駆け込みで資本金を1億円以下に減資した場合、令和7年3月期は外形標準課税の対象外ですが、最初事業年度の令和8年3月期に払込資本の額が10億円を超えるものは外形標準課税の対象法人とされます。
 ただし、公布日前に行われた減資については、「駆け込み減資」として扱わず、一定の場合、経過措置の適用はありません。

◆100%子会社にも課税逃れ措置を実施
 令和8年4月1日以後に開始する事業年度において払込資本の額が50億円を超える法人(またはグループ内の複数の法人)に株式を100%保有される子法人で払込資本の額(公布日以後に配当等により減少した額を加算した後の金額)が2億円を超えるものも外形標準課税の対象となります。
 なお、経過措置として令和8年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度は、外形標準課税の対象外であるとみなした場合の事業税額を超える部分の3分の2が軽減され、令和9年4月1日から令和10年3月31日までに開始する事業年度は、3分の1が軽減されます。

税務トピックス 2025月02月18日

相続税調査の「簡易な接触」が増加傾向

 国税庁が公表した2023事務年度(23年7月~24年6月)の「相続税の調査事績の概要」によると、「実地調査」と「簡易な接触」を合わせた調査件数は前年度比17.8%増の2万7337件でした。法人税や所得税の調査と同様に件数の変動が顕著なのが「簡易な接触」で、前年度比25.2%増、コロナ禍前の18年度と比べると81.8%増となっています。

 23年度の相続税の「実地調査」は8556件で、前年度の8196件から4.4%増となりました。文書や電話、来署依頼などに基づき納税者と接触を図る「簡易な接触」は1万8781件で前年度の1万5004件から25.2%増え、実地調査の伸び率を大幅に上回りました。コロナ禍前の18年度の事績と比べると、調査手法が様変わりしている実態がみてとれます。18年度の「実地調査」は1万2463件だったため、23年度の件数はそれよりも31.3%減少しています。その一方で「簡易な接触」は18年度の1万332件と比べ8割以上増加している状況です。18年度当時は実地調査の件数が、簡易な接触の件数を上回っていたわけです。
 23年度は実地調査の件数に比べ、2.2倍もの簡易な接触が実施されている状況で、国税当局の〝武器〟として完全に定着したことがうかがえます。

 1万8781件の簡易な接触によって、申告漏れなどの非違が5079件発覚しています。申告漏れ課税価額は954億円、追徴税額は122億円で、いずれも簡易な接触の事績の公表をはじめた16年度以降で最高額となっています。

<情報提供:エヌピー通信社>

その他 2025月02月11日

【時事解説】中小企業における人材確保の現状と課題 その1

 人口減少トレンドが続く中で、中小企業にとって人材の確保は避けては通れない経営課題となっています。
 中小企業庁編「中小企業白書2024年版」では、中小企業を対象としたアンケートに基づいて中小企業における人材確保の現状と課題について分析しています。
 アンケート調査の結果に基づき中小企業の採用の動向についてみると、直近3年間における新卒採用、中途採用の実施状況については、新卒採用で4割程度、中途採用で8割程度の企業が「行った」と回答しています。

 次に直近3年間で中途採用を行った企業のメリットについて回答割合の高い順にみると、「即戦力となる(75.6%)」、「育成コストを抑えられる(32.6%)」、「優秀な人材を確保できる(30.9%)」となっています。
 また、直近3年間で新卒採用を行った企業のメリットについて回答割合の高い順でみると、「社内が活性化する(61.9%)」、「計画的な求人・育成ができる(49.2%)」、「将来の後継者・幹部候補として育成できる(31.9%)」などとなっています。
 さらに直近3年間で中途採用を行った企業が、中途採用に感じている課題について回答割合の高い順にみると「応募が少ない(61.1%)」、「指導する人材の不足(23.6%)」となっており、応募の少なさを課題として認識する企業の割合が突出して高いことがわかります。
 また、直近3年間で新卒採用を行った企業が、新卒採用に感じている課題について回答割合の高い順にみると、中途採用と同様に「応募が少ない(62.8%)」の回答割合が最も高い一方で、「育成に時間がかかる(44.5%)」、「指導する人材の不足(37.3%)」などといった育成負担についての回答割合も高くなっていることがわかります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2025月02月11日

【時事解説】中小企業における人材確保の現状と課題 その2

 では、中小企業はどのような採用に向けた取組みを行っているのでしょうか。そこで、中小企業庁編「中小企業白書2024年版」において、中小企業を対象に実施したアンケートに基づいて、採用に向けた取組みについてみていきましょう。

 まずインターンシップの実施状況についてみると、インターンシップを実施したことがある中小企業は3割程度存在していることがわかります。
 次にインターンシップを実施したことがある企業がインターンシップの実施で得られた効果について回答割合の高い順にみると、「学生の意見を知ることができた(46.8%)」、「自社に合う人材の採用につながった(29.7%)」となっています。このことからインターンシップの実施は、実際の新卒採用に一定程度の効果があるととともに、すぐに新卒採用につながらなくとも学生の意見を知ることによって、今後の応募や採用につながっていく可能性もあると考えられます。
 また、採用面接で自社から伝えている内容についてみると、「給与体系(82.7%)」、「休暇制度・福利厚生(81.6%)」、「期待する専門性・役割(69.6%)」、「自社の強み(67.1%)」などの順となっています。

 採用面接の場で伝えている内容と伝え方について、アンケートの選択肢の項目以外で自由回答があったものをテキスト分析した結果をみると、「職場」、「環境」、「(勤務、労働、残業、就業)時間」など、職場環境の状況に関する単語の出現頻度が高くなっています。
 さらに職場環境の整備への取組み状況別に、従業員数の変動状況をみると、職場環境の整備に向けた取組みに積極的であるほど、従業員数が「増加」していると回答する割合が高くなっています。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

税務トピックス 2025月02月4日

所得税・個人消費税の最新不正事例

 国税庁がさきごろ公表した2023事務年度の「所得税及び消費税調査等の状況」には、税務調査の傾向が数字として列挙されているとともに、具体的な事例についても紹介されています。これは、国税当局が類似の不正に目を光らせているという〝警告〟でもあります。

 国税当局は日本法人の会長と外国法人の役員を兼任していたAの国外取引に疑問を抱きました。調査の結果、外国法人には会社としての実体がなく、配当を受け取るだけのペーパーカンパニーであることが判明。さらに別の外国法人を経由してAは「コンサルティング料」を受け取っていました。本来、外国法人の収益からその国の法人税を差し引いた額にAの出資割合を乗じた金額が雑所得として発生するため、それに応じた金額を納税する必要がありました。さらに受け取ったコンサルティング料は当然に申告が不可欠でした。

 次の事例です。化粧品等の輸出販売業者として消費税の還付申告書を提出していたBは、国外送金等調書から免税売上額に見合う国外からの送金事実が確認できなかったこと、また申告事績等の分析から資金の出所や在庫管理状況等の事業実態を解明する必要があることから、国税当局に調査対象に選ばれました。その結果、売上先である外国法人は商業登記や会社登記などに該当する登録がなく、実在しない法人であることが発覚。反面調査の対象となった仕入先によると、Bの依頼で輸出販売にかかる免税売上に対する課税仕入があるかのように装うため、架空の仕入請求書を作成して報酬を受け取っていたそうです。

 最後に、国税当局は部内資料をもとに、金地金の取り引きを行っているにもかかわらず譲渡所得の申告がなかったCを調査対象に選定した事例です。調査を進めていくと、複数の金地金取引事業者からのCの口座への入金を把握。Cに説明を求めたところ、金地金取引事業者から「法定調書の提出基準以下の売却額であれば、税務署へ通知されない」という仕組みを聞き、納税を免れるために意図的に販売量を調整して売却し、当該譲渡所得を申告しなかった事実を認めました。

<情報提供:エヌピー通信社>

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