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税務トピックス 2024月08月6日
またしても、ふるさと納税の制度が利用者にとって〝うま味〟の少ないものに変更されます。総務省はふるさと納税制度のルールを見直し、利用者に独自のポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集を禁止すると発表しました。「地産品限定」「原価率3割規制」といったルールの変更に加え、今回は寄付集め競争の過熱を是正するための措置として、仲介サイトによる「ポイント付与」が事実上禁止されます。周知期間を経て、2025年10月以降の寄付から適用する方針です。
ふるさと納税は、仲介役となるポータルサイトを通じて自治体に寄付する利用者が増加しています。大手の仲介サイトでは利用者を呼び込むため、寄付金額に応じて独自のポイントを付与しています。
総務省では、自治体が仲介サイトの運営事業者に支払う手数料にはポイントの原資も含む場合があるとみており、禁止すれば手数料が下がり、自治体の収入が増えると期待しています。ただし、寄付金をクレジットカード決済で支払った場合にカード会社が付与しているポイントなど、通常の商取引に伴うものは禁止しません。
自治体が寄付を集めるために独自の取り組みを企画・立案し、実行するのは困難。〝集客力〟のある大手ポータルサイトに依存するのは当然の流れで、これを行政主体のホームページだけでPRしても多くの寄付は集まりません。
自治体が広報・宣伝活動に多くのノウハウを持つ広告代理店やPR会社、ふるさと納税ポータルサイトを利用するのは当然のことで、これを封じるのであれば純粋な「広告料」「PR費用」といったコストが増えるだけでしょう。そうしないことにはポータルサイト側の運営に支障が生じます。そうなると、配送費や宣伝費も「原価率3割」に含む必要がある現行のルールでは、返礼品の品質や量を落とすしかありません。
高額納税者の多くが利用するふるさと納税の〝うま味〟が、またもや制度を作った総務省によって減殺されることになりそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>
コラム 2024月08月6日
◆マイホームを売った時に使える特例
マイホーム(居住用財産)を売ったときに、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
利用するためには様々な要件があり、国税庁は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例適用チェック表」を用意しています。この表に売却する(売却した)マイホームを照らし合わせれば、この特例が利用できるか確認が可能です。代表する要件を簡単に見てみましょう。
◆居住用でなければもちろんダメ
他の居住用財産関係の特例と同じく、基本的には「住んでいなければダメ」です。別荘や仮住まい、セカンドハウスには適用できませんが、単身赴任等で家主が離れているものの、家族が生活しているといった場合はOKです。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに家屋もしくは家屋と共に敷地等を売る場合に、特例が利用可能です。
家屋を取り壊した場合については、取り壊しから1年以内に売買契約をし、かつその間に貸付等に利用していないことが条件となります。
◆他の特例との重複適用は基本NG
3,000万円の特別控除の特例は、長期譲渡所得の課税の特例(所有期間10年超で譲渡益6,000万円以下の部分の税率を優遇)を併用できますが、居住用財産関係の特例や住宅ローン控除と併用することができません。併用できない期間も設定されており、居住用財産関係の特例については前々年、前年、当年に適用されていれば、3,000万円控除が受けられません。住宅ローン控除については居住年およびその前2年、その後3年の計6年間に3,000万円控除を受けた場合、住宅ローン控除の適用を受けることができなくなります。
また、収用の場合の特別控除、特定期間に取得した土地等を譲渡した場合の特別控除、低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除等、居住用でない土地に適用できる特例についても併用できません。
法定申告期限後に特例の選択替えもできませんから、申告時に慌てることのないよう、早めの検討・準備をしておきましょう。
税務トピックス 2024月07月30日
2023年分の確定申告で、個人事業者による消費税の申告件数が前年比86.9%増の約197万2千件となったことが分かりました。国税庁が発表しました。消費税のインボイス制度が23年10月に導入されたことで大幅増につながりました。
国税庁はこのほど、23年分の所得税・消費税・贈与税の確定申告の状況を発表しました。個人事業者による消費税の申告件数は前年の約105万5千件から約91万7千件増えた約197万2千件(前年比86.9%増)で大幅に増加しましたが、その申告納税額は6850億円(同9.1%増)にとどまりました。「件数激増、税収微増」はインボイス制度導入時から予測されていたことではありますが、実際に税務署の処理業務量はほぼ倍増したものの、税収の伸びはわずか1割にも届きませんでした。
23年中にインボイス発行事業者となったのは197万6千人で、そのうち期限内の申告者数は174万4千人。また、免税事業者からインボイス発行事業者となったのは104万8千人で、そのうち期限内の申告者数は87万5千人。免税事業者から課税事業者になった人を対象に、その納付税額を「売上げに係る消費税額の2割とする」特例、いわゆる〝2割特例〟を適用した申告者数は73万4千人で、83.9%がこの特例を適用して申告した計算となります。
<情報提供:エヌピー通信社>
コラム 2024月07月30日
◆マイホームには税の特例がもりだくさん
住宅ローンを借り入れて、住宅の新築・取得を行った場合受けられる住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、皆さんご存じかと思いますが、マイホームに関連する税制は売却した際にも様々な状況に応じて特例が設けられています。今回は横断的にどんな特例があるのかを見てみましょう。
◆マイホームを譲渡して売却益が出た時
①居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例:マイホーム(居住用財産)を売った時、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる。
②マイホームを売った時の軽減税率の特例:所有期間が10年を超えている場合、長期譲渡所得税率は通常15%(+住民税5%)であるのに対して、6,000万円までの部分については10%(+住民税4%)で計算することができる。
③特定の居住用財産の買換えの特例:特定のマイホームを売って、代わりのマイホームに買い換えた時、一定要件のもとに、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる。
①と②は併用が可能ですが、③も含め、売却益が出て特例を利用した場合、住宅ローン控除との併用はできません。
◆マイホームを譲渡して売却損が出た時
④マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:マイホーム(旧居宅)を売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合、旧居宅の譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たしていれば、譲渡損失をその年の給与所得等、他の所得と損益通算することができる。また、損益通算しても控除しきれない分は、譲渡の年の翌年以後3年内は繰越控除が受けられる。
⑤特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高より低い価額で売却して譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たせば他の所得と損益通算できる。また、譲渡の年の翌年以後3年内は繰越控除が受けられる。
④は買い換えの場合に限られますが、⑤は新たにマイホームを買わなくても受けられる特例です。また、売却損が出た時に利用する特例は、住宅ローン控除併用可です。
その他 2024月07月23日
金融には産業の新陳代謝を促す機能も期待されています。金利負担に耐えられない低収益の企業には退出してもらい、新しい成長性の高い企業が参入し、人的、物的資源を低収益企業から高収益企業に移動することにより、経済は成長することができます。ただ、新陳代謝機能を十分に発揮させるためには、金融の量的制限とある程度の金利が必要です。しかし、現在のような大量の低金利融資が蔓延すると、低収益企業が温存されてしまい、成長企業への資源移転がうまくいきません。もし、ここで急に金利が上昇すれば、人的、物的資源の受け皿になるべく成長企業が十分に存在しないまま、低収益企業が退出しなければならなくなってしまいます。
このように、日本経済は低金利のぬるま湯の中で、厳しい選択を迫られることなく、何となく生存できている、といってもいい状況です。本来アベノミクスでは、金融緩和で時間稼ぎをしているうちに、成長戦略を実行するはずでした。しかし、肝心の成長戦略が起動しない中で、時間稼ぎであるはずの低金利の金融緩和だけが継続し、経済全体がそれに甘える体質となってしまいました。
金融緩和が続く限り、現状維持は可能でも、いつまでもこの状況を続けることはできません。今の金融緩和は病巣を膨らませながら、解決を先送りにしているに過ぎません。今は日銀が主体的に金融政策を判断できていますが、国債発行が累増し国内貯蓄を食い潰してしまうとか、あるいはその前に個人貯蓄が海外に流出するキャピタルフライトが本格化すれば、資金不足になり、マーケットに追い込まれる形で利上げせざるをえなくなる可能性もあります。そうなると、より厳しい選択を迫られるようになることも想定しておかなければなりません。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
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