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税務トピックス 2021月05月4日

IT企業の法人減税を検討

経済産業省が国内のIT企業の法人税引き下げを検討しています。海外向け事業の収益に課す税負担を国際水準まで引き下げることで、企業が税金の安い国や地域に移転するのを防ぐ狙いだそうです。しかし、コロナ禍で国の財政状況が悪化しているなかでさらなる法人減税を推し進めることには、財務省などから慎重な意見も出ています。

IT企業はインターネットを通じてサービスを提供するため、店舗や工場などを設置しなくても経済活動を行うことができます。そのため、低税率の国に会社登記や管理機能を備えたオフィスを用意することで、各国内で生み出した利益を移転する課税回避策が有効でした。

 

こうした事情から各国の間では企業の本拠を呼び込むための低税率競争が激化してきた経緯があります。そこで経済協力開発機構(OECD)は、いたずらな法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけるための国際ルールの素案を昨年10月に公表し、検討を進めてきました。

 

OECDのルールでは、低税率国として知られるアイルランドの法人税率12.5%を最低税率の目安とする案が有力視されています。現状の日本で適用される最低税率を下回ることから、経産省は国際ルールの最低税率に見合った水準にまでIT企業の税負担を引き下げることで海外移転を防ぐ狙いです。

 

しかし、コロナ禍で国の財政が悪化するなか、財務省は税率の引き下げには慎重姿勢を見せています。また、これまで段階的に引き下げられてきた法人税の減収分が消費税によって賄われているとの批判もあります。そうしたなかでのIT企業に限った法人減税策は「一部の業種を優遇し、減収分を国民全体で負担するのでは差別的だ」(都内の製造業者)などと批判の声も上がっています。

 

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2021月04月27日

《コラム》押印不要の書類が増えています

菅内閣は脱ハンコ、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を進めています。これに伴い、税務書類についても押印が不要となる書類が増えてきました。

◆税務署窓口における押印の取扱い

令和2年12月21日に「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定され、この中で、税務関係書類(国税に関する法律に基づき税務署長等に提出される申告書等)の押印の見直しが行われました。提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、一部の税務関係書類を除き、押印を要しないこととする方針が示されました。そして、この取扱いは原則として令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する予定となっていましたが、一方で「改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めない」ともされていました。
この閣議決定に基づき、全国の税務署窓口においては、本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めないこととしています。

 

◆振替納税やダイレクト納付の手続も

従来、振替納税やダイレクト納付をしようとする場合には、それぞれ「振替依頼書」や「ダイレクト納付利用届出書」に金融機関の届出印を押印する必要がありました。これらの手続も令和3年1月から、個人の方の振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書をe-Taxで提出することが可能となりました。
さらに、振替依頼書等のオンライン提出においては、金融機関の外部サイトにより利用者認証を行うので、電子送信時に電子署名及び電子証明書の添付も不要となります。

 

◆押印が必要な書類も

とはいえ、担保提供関係書類・物納手続関係書類の一部や遺産分割協議書、特定個人情報の開示請求、閲覧申請手続など、押印が必要な書類もまだまだありますので注意しましょう。

税務トピックス 2021月04月27日

自民党内で「消費税頼りは限界」の声

 自民党「財政再建推進本部」(本部長=下村博文政調会長)の「財政構造のあり方検討小委員会」(委員長=小渕優子元経済産業相)が3月中旬、東京・永田町の党本部で開かれました。新型コロナウイルス対策で悪化した財政の健全化が急務との認識を共有する一方、一部議員からは社会保障財源を今後も消費税に頼ることに限界があるとの見解も示されています。

 同本部は例年3月ごろに始動して、政府が6月に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」をまとめるのに合わせ、経済成長と財政再建の両立に向けた党としての改革案を提言しています。小委はその具体策の取りまとめを担う組織です。昨秋は、医療機関に支払う窓口負担の引き上げ(1割→2割)の対象となる後期高齢者の範囲を巡り「原則全員」とする中間報告をまとめ、高所得層に限定すべきだとした医師会・厚生労働省系の議員らと対立しました。

 この日の会議は冒頭以外、非公開で行われました。出席者によると、日本経済研究センターの小峰隆夫研究顧問が日本の経済財政の課題について講義し、財政悪化の主因である社会保障費は「安定財源としての消費税を必要としている」と指摘。これに対し、一部議員が「社会保障と消費税を結びつけるのはもう難しいのではないか」と疑問を呈したそうです。

 発言の趣旨について、出席した議員の一人は「消費税の増税は当面、不可能という意味で言ったのだろう」と解説します。菅義偉首相が「10年間は引き上げない」と公言していることも背景にあるとみられます。

 財務省幹部らは一様に「消費税は10%に上げたばかり。すぐまた増税とはいかない」と認めています。とはいえ、党内でも財政に理解があるはずの「財政規律派」の議員からも増税に慎重な声が上がったことは、同省の今後の財政再建シナリオに影を落としそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2021月04月20日

《コラム》自転車通勤ルールの策定

コロナ禍の下、自転車通勤が増えています。自転車通勤は手軽に始められますが、通勤中に事故でケガをした場合、通勤災害になるのか、または、相手にケガをさせてしまう場合の損害賠償はどうなるのか? 自転車通勤を認める場合は、様々な状況を考慮して規程などルールを定めておくことが大切です。

 

◆通勤災害とは
通勤途上の事故の場合、通勤災害か否かが問われます。通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、傷害又は死亡を言います。しかし、どんな場合でも通勤災害になる、というわけではなく、労災法では「通勤」とは「就業に関して」次の3点で定義しています。
(1)住居と就業場所との間の往復
(2)複数の異なる事業場で働く労働者が一つ目の事業所から次の事業所へ移動する場合
(3)(1)、(2)の往復の前後に、厚生労働省で定める要件に該当する場所への立ち寄りは可
(3)は、転任に伴い家族と別居していて、家族の住居から事業所に行く場合や、要介護状態の父母や親族の介護のために自宅でないところからの通勤などです。通勤の途中で、買い物など日常生活に必要な行為、やむを得ない事由による立ち寄りは、その行為の間(逸脱、中断といいます)は除き、通勤となります。ちなみに、通勤途中で会社の荷物を届けるような場合は、通勤災害ではなく業務災害となり別途対応が必要となります。

 

◆自転車損害賠償責任保険への加入
自転車でのケガを防ぐために、必ずヘルメットの着用を義務付ける、前照灯やベルなど安全にかかわる装備が正しく装着されていて、整備された自転車であること、安全な乗り方は当然として、駐輪場の確保なども確認が必要です。そして、何より、自転車損害賠償責任保険等に加入していることの確認が重要です。昨今の自転車事故の多発と裁判での高額な賠償金の支払い命令が出ていることで、多くの自治体が条例で自転車保険加入を義務化しています。自動車保険特約加入も含め、書類の提出などで保険加入を確認しましょう。

コラム 2021月04月20日

《コラム》中小企業にも『同一労働同一賃金』が適用(令和3年4月~)

◆中小企業にも『同一労働同一賃金』適用
令和3年4月より、中小企業にも『同一労働同一賃金』が適用されます。
大企業には令和2年4月から適用され、中小企業には1年間猶予されていました。
そもそも、同一労働同一賃金とは何でしょうか? 文字通りに解釈すれば、同じレベルの労働に同じレベルの額の賃金を支払うことと読めます。
しかし、法的には正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
従って、正規雇用労働者(正社員)間の待遇差については、対象外となります。

 

◆『同一労働同一賃金』に関する法改正
同一労働同一賃金に関して改正される法律は、「労働契約法」と「パートタイム・有期雇用労働法(以下、パート有期法)」です。
具体的には、労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)が廃止され、パート有期法8条(均衡待遇)と同法9条(均等待遇)に引き継がれることになりました。

 

◆『同一労働同一賃金』で求められること
パート有期法では、①職務の内容と②職務の内容・配置の変更の範囲が同じであれば、差別的な取扱いが禁止され、均等待遇が求められます。一方、①と②に差がある場合でも、さらに③その他の事情を考慮して均衡(バランス)のとれた待遇、即ち均衡待遇が求められます。
なお、派遣労働者については、大企業と同じく令和2年4月から、賃金の決定方法に「派遣先均等・均衡方式(派遣先ベース)」と「労使協定方式(派遣元の労使協定ベース)」のいずれかを採用しなければならないことになっています。
他には、非正規雇用労働者に正規雇用労働者との待遇差について説明を求められた場合の説明義務が強化されます。また、均衡待遇や待遇差の説明に関する紛争は、都道府県労働局の管轄となり、裁判外紛争解決手続(行政ADR)の対象となります。

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