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税務トピックス 2020月08月25日

(前編)新型コロナウィルス感染症の影響により賃料を減額した場合の取扱い

新型コロナウイルス感染症の影響により、店舗用物件やテナントなどを賃借する事業者には、売上が減少しているなか、賃借料の支払いに困っているところも多いと思われます。

そのため、店舗用物件やテナントなどの物件を賃借している事業者より、固定的に支払いが発生する賃料の負担が重いことから、賃貸している店舗用物件やテナントなどの不動産貸付業を営む事業者のなかには、賃料の減額を求められた場合、契約内容の見直しを行い、新型コロナウィルス感染症の流行が終息するまでの期間に限って、賃料の減額に応じるところもあるようです。
しかし、この不動産貸付業者が取引先等に対して、復旧支援のため、賃料の減額に応じた場合の賃料の減額分については、法人税の取扱上、寄附金として取り扱われることになるのかが疑問が残ります。

この件につきましては、国税庁において「新型コロナウイルス感染拡大に係る税務上の取扱いに関するFAQ」をホームページ上に公表しております。

(後編へつづく)

(注意)
上記の記載内容は、令和2年7月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

コラム 2020月08月18日

《コラム》居住用特例重複適用

◆会計検査院が実態報告
会計検査院の検査報告によると、新居を購入し住宅ローン控除を受けている人で、旧居に居住しなくなってから3年目に売却して居住用資産譲渡の3000万円特別控除の特例の適用を受けていた人が平成28年、29年の2年間で37人いたとしています。措置法特典の重複適用の指摘です。そして、この37人の重複減税額の合計が5011万円であった、としています。

◆立法作業の疎漏の指摘か
会計検査院は、法の想定外の事態として、重複適用になってしまっている、と把握しています。これが本当に、元々法の予定していなかった措置法特典の重複適用なのか、そうでないかは不明です。
例えば、居住用財産譲渡の3000万円控除と10%軽減税率は、共に措置法規定ですが、重複適用排除はされてないので、重複適用排除の原理があるわけではありません。
会計検査院の言うようにあるべきでない重複適用なのだとしたら、それは、立法作業における法律の規定が疎漏だったということになります。

◆疎漏の内容は期間のズレ
法律の規定が疎漏だったとした場合のその内容は、居住用財産の譲渡所得からの3000万円特別控除の規定の適用が、居住の用に供さなくなってから3年を経過する日の年末までの間に譲渡した場合に適用されることになっているのに対し、住宅ローン控除の適用の規定は、新居に入居した年、その前年又は前々年、また、翌年又は翌々年中に、旧居につき居住用財産の特例の適用を受けていないこと、となっていて、両者の期間にズレがあることです。
3000万円特別控除の規定は居住終了から足かけ4年、住宅ローン控除の適用の規定は新居に異動してから足かけ3年、と異なっていたことです。

◆今年の税制改正で対応
会計検査院の指摘を受けて、この期間のズレ問題は、今年の税制改正の一項目になり、住宅ローン控除の規定の中にある「翌年又は翌々年中」という文言が「翌年以後3年以内」という文言に改正され、この疎漏だったかもしれない点は消滅しました。
なお、同じ条文に、親の居住用財産を相続した後に空き家譲渡した時の3000万円特別控除がありますが、これは特に制限されていません。

コラム 2020月08月18日

《コラム》令和2年度 産業保健関係助成金

◆新たに副業・兼業者の健康診断を助成
独立行政法人労働者健康安全機構では、事業者が行う労働者の健康管理、健康教育などの産業保健活動を支援する事業を行っています。例えば、従業員50人未満でストレスチェックが努力義務となっている事業主に対し、実施促進のために支給するストレスチェック助成金など、以下の助成金があります。
<令和2年度版 産業保健関係助成金>
https://www.johas.go.jp/tabid/1689/Default.aspx
①治療と仕事の両立支援助成金(環境整備コース・制度活用コース)
②ストレスチェック助成金
③職場環境改善計画助成金(事業場コース・建設現場コース)
④心の健康づくり計画助成金
⑤小規模事業場産業医活動助成金
⑥副業・兼業労働者の健康診断助成金

この⑥が今年度から新たに設置されたものです。副業・兼業で働いている人は、一般に1つの企業での就労時間数が短く、健康診断の実施義務の対象外となってしまうことから、この助成によって実施を促進しようとするものです。

◆助成を受けるための要件
この助成金の対象となる「副業・兼業労働者」とは、a)40歳未満、b) 本業や副業を問わず、雇用されている全ての事業場において1週間の労働時間数が当該事業場における同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満、の2点となります。
助成額は、1労働者当たり1万円、対象者が複数いる事業場の場合は10万円が上限です。申請は5月29日から受け付けがスタートしています。
副業・兼業での働き方は、まだ法整備が追い付いていないこともあり、企業側にとっては対応が難しい部分もありますが、不安定な雇用環境を背景に広がっていくと考えられます。より優秀な人材を集めるためにも、助成金の活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

税務トピックス 2020月08月11日

愛知県の寺院が差し押さえの対象に

愛知県愛西市にある創建460年を超える寺院が、国税を滞納して墓地や本堂などを差し押さえられていたことが分かりました。公売にかけられて6月上旬に売却される予定でしたが新型コロナウイルスの影響で延期されています。

 

差し押さえを受けているのは、1556年に創建されたという久宝寺。同寺は2017年に名古屋国税局の税務調査を受け、住職が寺の資金約7千万円を私的な投資に流用していたとして、約5千万円について源泉徴収漏れを認定され、重加算税を含む追徴課税を受けました。

 

その後、寺は一部を納付したものの、数百万円が納付されなかったそうです。そのため国税局は、寺の墓地を含む境内の土地(約2700平方メートル)や本堂、書院、庫裏、車庫などを差し押さえました。

 

国税徴収法75条では、差し押さえできない財産として「礼拝または祭祀に直接供するため欠くことができない財産」に当たる神体、仏具などを挙げています。そのため同寺についても神体や仏具は差し押さえられなかった一方で、直接仏事に必要ではないとされる本堂や墓地などが差し押さえられたとみられます。

 

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2020月08月11日

新型コロナで金密輸が増加か

今春に韓国から輸入した電動工具のなかに金塊18キロが隠されているのが中部国際空港で見つかり、名古屋税関が押収していたことが分かりました。金額で約1億円相当だと言います。新型コロナウイルスの影響で市場が混乱するなかで、安全な資産とされる金の価格は上昇傾向にあります。金の価格が上がるほど密輸による利ざやも拡大するため、当局は密輸の増加に目を光らせているところです。

 

押収された金塊は航空貨物として電動工具数十点のなかに隠され、工具の構造に応じて成形されていました。

 

金の価格は世界共通ですが、日本国内で売買をしようとすると消費税がかけられます。1億円の金塊を国内の貴金属店が買い取ろうとすると、売り主に対して消費税10%を上乗せした1億1千万円を支払わなければなりません。

 

これを踏まえ、国外から日本に金を持ち込もうとすると、税関であらかじめ消費税10%分を納めることが義務付けられています。税関で納めた分と売却時に得た分で差し引きはゼロになるわけです。しかし密輸すれば税関を通らないため、消費税分を納める必要がありません。そうして持ち込んだ金を国内で売却すれば、たとえ外国で正当な価格を払って金を入手していたとしても、消費税分がまるまる儲けになるわけです。昨年10月に消費税が8%から10%に引き上げられたことで、金密輸の〝旨味〟は増していることになります。

 

また新型コロナウイルスの世界的流行を受けて、「有事の安全資産」ともいわれる金の価格は上昇傾向にあります。金価格が上がるほど消費税から生じる利ざやも拡大するため、今後も金密輸は増加する可能性が高いと言えます。

 

<情報提供:エヌピー通信社>

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